AOTSジャーナル21号
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本社のあるヒューリック東日本橋ビルインパネ内空調ダクト(同社ホームページより)本  社:東京都中央区拠  点:国内工場 7か所     国外(中国、インドネシア)事業内容:プラスチック製品の製造及び販売す。自動車メーカーは品質の安定の要求が厳しく、工程の監査を含めた生産体制が現地で確保できないと受注に結びつきません。発泡ブローダクトは日本でも最初の客先での採用から他社でも受注できるまでに5−6年かかりました。インドネシア法人は今年から量産化できたので、安定して量産するためにはこれからも適宜研修が必要と考えています。※1 [発泡ブロー成形]ペットボトルのような中空成形。中身が空洞となるた  め従来のソリッド成形より製品の軽量化、原料の削減が可能2023 AUTUMN No.21キョーラク株式会社は日本国内で初めてブロー成形技術による食品容器を製造した「プラスチックのパイオニア・総合企業」として70年以上に渡り積み重ねてきた経験・知見で、多様な産業分野の顧客のニーズ・課題の解決に取り組んでいます。同社が進める自動車部品の量産化に向けた人材育成についてお話を伺いました。4御社では現在インドネシアと中国から研修生が来日中ですが、最初にAOTS研修事業を利用したインドネシア法人の研修ニーズについて教えてください。 弊社は1997年に日系ブロー成形メーカーとして初めてインドネシアに進出し、中でもダクトはインドネシア国内でのインパネダクトシェアの約半数以上を占めています。しかしながら顧客企業からの納品部品に対する性能・品質・コストなどの要求が高まる一方で、日本に比べて新しい成形技術による物造りがなされていないため、競争力が弱い面がありました。そこで2005年の研修生を皮切りに、成形・設計・生産技術の分野の技術者のべ30名を日本での発泡ブロー成形による自動車のダクトに関わる研修に参加させてきました。発泡ブロー成形※1によるダクトの製品の特徴について教えてください。 主な特徴として、従来比で重量を約半分にできる「軽量化」、高断熱性能により空調ユニットからの温度ロスを防止できる「高断熱性」が挙げられます。使用原料も半減でき、コストダウンも実現しますので、現地で設計・量産することにより競争力を増すことができます。さらには発泡ブローダクトの搭載によって自動車そのものが軽量化し、燃費の向上によるゼロエミッション化にも貢献できます。 成形時の消費電力も約10%削減されることから、2016年からは低炭素事業(現在のゼロエミ事業※2)を利用しています。2019年からはインドネシアとほぼ同様の狙いで中国・天津の現地法人の設計技術者も研修に参加させていま現在、インドネシアと中国からの設計担当者の研修を行っていますが、発泡ブローによる製品の設計の研修のポイントはどんなところでしょうか?ブロー成形は材料を風船のように膨らませて金型で挟むような工程のため、設計に問題があると材料が破れる、金型から抜けないなどの問題が出てきます。設計技術者であっても製品の理解が必要なため、実地研修はまず一般ブロー成形品、次にタンク、ダクト、その他自動車部品、さらに発泡ブ発泡ブロー成形技術で、   自動車産業のゼロエミッション化に貢献キョーラク株式会社

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