AOTSジャーナル13号(2018秋号) 和文
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7No. 13 AUTUMN 2018に、購入元候補の農家の訪問、農家からの成分分析表の取り寄せ、加工冷凍が可能な工場の視察、日本の高い品質基準や検閲をクリアするための課題の洗い出し、日本の農林水産省への問い合わせなどを行いました。異国の文化というだけでなく、会社規模の違いによる考え方や仕事の進め方の相違を経験することができたと思います。2017年10月より6ヶ月、ベトナムの食品等製造企業に派遣派遣国ベトナムに限らず、海外での生活は初めてでしたが、派遣前から不安はあまり感じず、期待に胸を膨らませていました。生活面での最大の困難は、余暇活動のフットサル中に膝を怪我したことです。すぐに病院へ行き1ヶ月通院しましたが、結局ベトナム国内では手に負えないということで、医師の勧めによりシンガポールで手術をすることになりました。シンガポールでは、医師から「なぜ怪我をした後すぐに来なかったのか」と言われ、ベトナムとの医療水準の差を感じました。一方、困難さの中に学びもありました。シンガポールでは、高額の手術費用の立替有無の交渉、麻酔の成分を英語で調べるなど、ある意味で貴重な経験をしたと思います。インターンシップ業務における最大の困難は、ゴールは示されているがやり方に関する指示がないことです。受入企業はケータリング等を行う大企業で、売上のほとんどはケータリング事業によるものですが、新規事業として健康食品の販売を行っており、私はその部門であるサプリの販売営業を担当しました。具体的には、受入企業が従来持っていなかった顧客層の開拓、商品認知度を上げるための広報戦略の立案等を行い、自分なりに月毎の売上目標を立て、達成へ向けて日々の業務に取り組みました。現地での業務を通して、少しずつベトナムでビジネスを行う上での習慣や背景も見えてきました。例えば、広報戦略に関する提案はなかなか社内で理解を得られませんでしたが、その理由として、ベトナムでは中長期的な利益よりも短期的な利益が重視される事情があると思います。現地の関係者と話をし、歴史や社会的背景を学ぶ中で、こうした考え方は、過去のインフレやベトナム戦争の影響により醸成されたものだということが分かりました。また、ベトナムでは、何かを催促するときはメールより電話をかけるのが定石であるということを学びました。得意先に遠慮をしてメールで催促をしたところ、なぜ電話をしないのかと上司に叱られました。一方でベトナム人は得意先とのアポイントに遅刻しても気にする様子がなく、商習慣の違いに驚かされる毎日でした。6ヶ月の派遣の締めくくりとして、受入企業向けに改善提案をまとめ、英語でプレゼンテーションを行いました。受入企業からは、「じっくり足で稼いだ情報やベトナムの商習慣への理解を踏まえた提案になっている」と評価していただき、本当に嬉しく思いました。インターンシップを通して一番の達成感を得た瞬間でした。 インターンシップを通してどのようなことが身につきましたか。堀江氏:今回初めて、生まれ育った場所とは異なる環境でのインターンシップを体験しましたが、多様な宗教観に対する理解、ストレスコントロール力、そして、発展途上国に住むことでメンタルタフネスや変化の激しい環境への適応力が磨かれたと思います。「異文化理解」と言葉にするのは簡単ですが、まさに身をもって異文化を体験することで、異文化への適応力が向上したと感じました。佐藤氏:インターンシップを通して得られた気づきとして、これまでの自分の働き方がいかに受動的だったか、そして、能動的に仕事の種を探していくことの必要性・重要性を強く感じました。一からものを生み出す力が身についたと思います。昨今、製薬企業の将来は厳しさが増すといった報道がありますが、私達は未来を創っていく世代。「もっとこうしたい」という自らの意思を持って仕事をしていきたいと思います。大日本住友製薬株式会社京滋北陸支店 福井営業所 佐藤大地氏ビジネスマッチングのイベントで受入企業の同僚たちと(中央が 堀江氏)受入企業の前で同僚たちと(中央が佐藤氏)

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