AOTSジャーナル13号(2018秋号) 和文
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JOURNAL2 先ずは迫田副社長に御社の海外展開と人材育成に ついてお話を伺います。 ① 御社の海外展開とAOTS制度の活用について ご紹介ください。グローバル展開をする日系自動車産業の海外における現地現調化のニーズに応えるべく、中国に始まり現在はインドネシア、タイ、インド、メキシコと5カ国に展開しております。金型は個別受注かつ多品種小ロットのため、技術者の育成に時間を要し、如何に効率的に海外の人材育成を行うかが企業生命に関わる重大な課題となっています。さらには弊社のような中小企業では限られた資本、さらには言語や文化の壁を超えてこの課題を克服しなくてはならず、その際にお世話になったのがAOTSの受入研修制度でした。初めての受入研修生はインドネシア人スタッフの2名で来日直後は日本語を全く話せなかったのですが、関西研修センターで日本語を教わり、短期間で企業研修の際に簡単なコミュニケーションがとれるまでに上達していてとても驚かされました。その後も中国、さらにはインドと毎年お世話になっております。また、アジア圏は比較的近距離のため研修生の往来は容易なのですが、メキシコは遠方のため複数の研修生の往来は難しく、日本人指導者を現地へ派遣して現地で人材育成をする方針とし、その際には専門家派遣制度を利用させて頂くこととなりました。 ② 「『エムエス金太郎飴』『里芋式育成法』により 『エムエス人』を育成する」というのが、御社の人材育成の方針と伺いました。どのような内容か 具体的に教えてください。当社は海外合わせたグループ全体で日本国籍以外のスタッフが半数以上を占め、日本本社においても約3割が海外スタッフです。「エムエス金太郎飴」とは、金太郎飴のどこを切っても同じ顔のように、国籍に関係なく同じ想いの人間になるということです。日本人も外国人も一緒だと単純に割り切っているのではありません。海外から日本へ研修にくるスタッフは異なる文化のなかで不安で心細いのは当然で、日本人が彼らの立場だったらどう思うのかということを常に考え、寄り添ってあげることの大切さをまず日本人指導者にしっかりと教育した上で、生まれた場所、教育、言葉、宗教、食習慣は異なっても、 同じ「エムエス人 」として国籍に関係なく想いを共有し、相手を尊重する人材を育成していくことが重要であると考えています。「里芋式育成法」と呼んでいますが、まずは日本にて海外現地の親芋=指導者となる人材を育成します。その親芋を海外現地に植える=指導者として現地へ派遣して人材育成をすることで、何もなかった土壌に沢山の新しい子芋=新人が育ちます。指導者が継続して教育をするのではなく、指導者(親芋)AOTS人材育成事業の活用事例株式会社 エムエス製作所エムエス製作所は2016年より受入研修制度を利用して今年で3年目になります。現在、インドの研修生2名が同社で実地研修を行っており、また本年より専門家派遣制度にてメキシコに専門家を派遣中です。同社は自動車向けウェザーストリップ成形金型製造を行っているメーカーです。ユーザーのニーズに従い、金型の設計・製造まで一連の工程を担っています。また、3 次元加工用の金型成形等、世界トップクラスの技術力を武器に、国内だけでなく海外にも積極的に展開中です。2017年には「あいちの名工」に2名認定、さらに金型工業会の金型マスターに3名認定される等、従業員の技術力は非常に高く、現在、愛知県で注目されている金型メーカーです。今回は同社を訪問して迫田邦裕副社長、管理部馬勝超氏、研修中のインド人研修生2名にインタビューを行いました。本  社:愛知県清須市春日立作54-2創  立 : 1971年7月資本金: 3,811万円従業員数: 59名(2018年9月現在)事業内容 : ゴム成形金型、ウェザーストリップ成形金型 設計製作本社外観目指すはビッグではなくグッドカンパニー、人材教育・人材輩出企業でありたい。

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