AOTSジャーナル13号(2018秋号) 和文
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JOURNAL14同窓会ニュース日本で学んだ研修生が帰国後に自主的に設立したAOTS同窓会の活動の中心のひとつとして、日本の優れた技術や管理方法の啓蒙のためのセミナーの開催が挙げられます。日本人講師のセミナーは集客力があり、また現地でのメディアの目に留まる機会も増えてよい宣伝活動の場となりますが、同窓会が自力で日本からの講師を招聘するのは費用面のハードルが非常に高いのです。今回ご紹介する「巡回セミナー」はAOTSにおける同窓会との協力事業の一つで、複数の同窓会が共同で企画したセミナーにAOTSが日本から派遣した講師が複数都市を巡って行なう形をとり、費用はAOTSと同窓会が負担し合うことで同窓会の負担を減らすことができます。2018年2月、イラン及びエジプト同窓会の企画により、ドルフィントレーニング&コンサルティング代表田中元二先生に講師をお願いした巡回セミナーが開催されました。 イランイランは中東地域の中では各種産業基盤が確立しており、自動車生産も部品(9割国内調達)製造を含めて幅広く行われており、日本企業も現地自動車メーカーとの技術提携による現地生産を行っています。こうした動きが拡大すれば中長期的に日本の製造業のイランへの投資が見込まれることから、裾野産業の人材育成ニーズは高く、今回の巡回セミナーもこうした経済情勢と、イラン同窓会活性化の必要から実施したものです。イランでは2日間の講義でテーマを「生産管理」「品質管理と人材育成」と変えて行いましたが、大半の参加者が両方のコースに参加し、コース中は頻繁に質問がなされ、休憩時間にも講師に自社の事例を説明する参加者が引きもきらず、活気ある2日間となりました。 エジプトエジプトは物価高騰とインフレによる経済停滞により、ここ数年同窓会からAOTSの来日研修コース参加者数が低迷していたため、今回同窓会から活動活性化の一助として巡回セミナー実施の要請がありました。3日間の「設備保全による生産性向上」セミナーは、経済活性化の打開策として、輸出増加に向けて重要となる品質の改善にフォーカスしたタイムリーな内容となり、120名近い参加者がありました。エジプト同窓会は同国における親日関係者の有力者であるバハ会長(昨年日本政府より叙勲)を中心に献身的な会員も多く、今後もこうしたセミナーの活発な企画運営が期待されます。2018年6月、ヨーロッパ同窓会連合 (EFAAS)会議がルーマニアのクルージナポカにて開催されました。議長国ルーマニアのほかチェコ、マケドニア、トルコより4カ国7名が参加し、AOTSとの協力事業や独自事業としての今後のコース運営について活発に議論がなされました。またAOTS市川理事より2019年7月に行われる第10回同窓会代表者会議に向けたアクションプラン作りの提案を行いました。今回の会議では、ルーマニア同窓会より国内各都市での「公共5S大会」の取り組みが紹介され、参加者の関心をひきました。5Sの構成要素のひとつである清掃活動に力を入れ、街中の公共空間を清掃する取り組みで、ルーマニア同窓会でエジプト・イラン巡回セミナー実施 5Sは職場から公共空間へ ̶ルーマニア同窓会の取り組みより̶EFAAS会議集合写真 右から3人目がルーマニア同窓会長、4番目がAOTS市川理事田中先生(左)による指導の様子(エジプト)

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