AOTSジャーナル12号(2018年春)和文
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JOURNAL6 AMEICC大学寄付講座事業のご紹介 はじめにAOTSは、昨年度より3年間にわたり、平成27年度補正予算の日アセアン経済産業協力委員会(AMEICC)拠出金事業として、アセアンの人材育成事業を実施しています。今号では、日本企業等の協力により、アセアン各国の大学で学生向けに日本のものづくり技術や企業文化等を紹介する「大学寄付講座事業」をご紹介します。アセアン各国の大学は、日本の大学と異なる学期制をもち、多くが4月始まりではありません。9月に始まり6月で終わるベトナムや、12月に新学期を迎え9月を一区切りとするミャンマーなど、各国の気候風土や社会習慣を反映したキャンパスライフが展開されています。AOTSは、現地の企業等に勤務する技術者や管理者を対象とする人材育成事業を主に実施していますが、この寄付講座事業は、社会に出る前の現地大学生が対象です。 AMEICCとは?AMEICCとは、日アセアン経済産業協力委員会(ASEAN Economic Ministerial Meeting - Ministry of Economy, Trade and Industry of Japan(METI)Economic and Industrial Cooperation Committee)の略称です。日本がアセアンの経済と産業の発展のため、各国の閣僚と協調し協力するための委員会です。1998年に設立され、その事務局をAOTSのバンコク事務所に置くことになっています。 大学寄付講座事業の目的は?新規カリキュラムによる大学での講義、現地もしくは日本の企業でのインターンシップ、現地企業の出展によるジョブフェア等を通じて、現地日系企業で求められる人材を育成し、事業活動の円滑化、発展と日アセアン協力関係の深化を図ることを目的としています。 講座の内容や方法は?2017年12月現在、アセアン6か国(インドネシア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、フィリピン)、延べ25大学で実施しています。各大学と協力して講座を実施する地元企業のニーズに応じ、日本のものづくりや自動化、電気工学、ソフトウェア開発、日本企業文化、KAIZEN(改善)、食品安全、鋼構造設計、建築・土木に関わる安全管理など、その内容は多岐にわたります。AOTSが実施している寄付講座は、こうした各国の大学の授業時間と重複しないよう、長期休暇中や、正規の授業が終了した後の午後や夕方を利用した講座が多いです。参加する学生は、大学が募集し、選抜された優秀な若者が集まっています。講師陣は、現地の日系企業の技術者や経営幹部、あるいは、日本から派遣される有識者等が務めています。株式会社吉野家ホールディングスは、タマサート大学教養学部に「マーケティング、食品安全」に関する寄付講座を開設しました。同社の海外事業の発展のためタイの有力大学の学生に企業の重要なノウハウである市場開拓や販売戦略、安全衛生に関する知識を教え、同時に、インターンシップを行うことでより実践的、実務的な経験を積んでもらう計画を立て、講座は開始されました。2017年の6月に第一期生として21名の学生がタマサート大学で講義を受けた後、バンコク市内の食品関連店舗を訪問調査したり、実際に市内で営業している吉野家の店舗で接客サービスなどを体験しました。さらに、21名から選抜された6名が日本でのインターシップに参加のため、7月に来日しました。同社ご担当からは「もともと優秀な学生の中からさらに6名を選抜することは皆甲乙つけがたく、本当に大変だった」と嬉しい悲鳴をうかがいました。日本では2週間にわたり、食材を育てる農場、加工する工場、日本の外食産業の市場と施設の視察、営業店舗での実習、そして、最後に成果報告会と、慌しくも充実したカリキュラムが組まれました。選抜された6名の優秀な参加者(全員女性で店舗実習(東京)郊外実習(東京・江戸川区)タマサート大学 教養学部 寄付講座タイ

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