AOTSジャーナル12号(2018年春)和文
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JOURNAL102017年9月、松江市内に開発拠点を持つIT企業「株式会社モンスター・ラボ」がインド・ケララ州出身の元インターン生1名を採用しました。2017年1月にAOTSが「松江市インドIT人材受入・企業誘致調査事業実行委員会」から受託して実施したインターンシッププログラムにより来日し、松江市及び出雲市のIT企業のべ6社においてインターン実習を受けた学生・若手エンジニアのうちの1名です。山陰地方はインド哲学の第一人者中村元博士の出身地で、かねてからインドとの交流に積極的でしたが、2013年設立の「山陰インド協会」が「印日商工会議所ケララ」(AOTSケララ同窓会幹部メンバーが中心となり設立)とのビジネスミッションを相互派遣する等、特にケララ州との経済・文化交流を活発に進めてきました。一方、松江市を含む5市の商工団体から成る「中海・宍道湖・大山ブロック経済協議会」において、松江出身のまつもとゆきひろ氏が開発したプログラミング言語「Ruby(ルビー)」普及のため内外から広く人材を集め、IT産業集積地として発展させていく計画がありました。そうした背景から2015年、同協議会は「印日商工会議所ケララ」と、また5市の市長会はケララ州政府と経済交流覚書を締結し、大学間の留学生交換等も具体化しつつあります。*このように、山陰とケララとの交流機運が高まる中、AOTSケララ同窓会により推薦された11名が、松江市及び出雲市でのインターンシップに参加しました。インターン生はケララ同窓会員の関係者など日本への関心が高く、来日時の同地方は記録的な大雪であったにも拘わらず受入企業や地元の方々と積極的に交流しました。今回採用が決まったポール・ジョー・ジョージさんは、現在松江での勤務が3か月となり、主にRubyを使用したウェブアプリケーション開発に従事しています。「Rubyは学ぶほど奥が深い」と高度な業務に果敢にチャレンジし、当初できなかった日本語も上達しつつあります。株式会社モンスター・ラボは、国籍に拘わらず能力次第で平等に採用、評価する方針で、ポールさんも日本人社員と同様の職務が与えられ、国際的かつアットホームな職場環境で仕事をされています。松江市ではこのような外国人人材を今後も受け入れ、RubyをブランドとしたIT都市として世界に発信すべく、引き続きインターン生の受け入れや、外国人の定住促進に向け取り組みたいとのことです。AOTSとしましては、この事例のように、各国の同窓会ネットワークや長い間に蓄積された異文化対応ノウハウを活用して、各地自治体の国際化を通じた地方創生をお手伝いして参りたいと考えています。* 当時AOTSが経済産業省の委託を受けて行っていた「ふるさと名物応援事業(海外人材活用地域資源魅力発掘事業)」の事例としてHIDAジャーナル2016年春号にて紹介しました。(株)モンスター・ラボ島根開発拠点で勤務中のポール・ジョー・ジョージさん NEWS2017年11月4日、AOTSは台湾国際工商経営研究社連合会(略称:IMC)との間で産業人材育成および経済交流分野における協力に関する覚書を締結しました。締結式は台湾彰化県でのIMCの年次総会に合わせて行われ、600名を超える参加者が見守る中、桒山AOTS理事長及び陳淵IMC理事長が署名しました。本覚書では産業人材育成および経済交流を通じて日本と台湾相互の経済発展ならびに友好関係の増進に寄与することを目的として、台湾産業界の技術力や経営管理能力等を向上させ、持続的な成長に寄与すべく、IMC、AOTS双方の枠組みと知見を活用した共同事業を推進することを旨としています。IMCではAOTS帰国研修生の謝春祥氏(1962, 67年受入)が高級顧問を務めており、早速海外研修開催に向けた検討がはじまっています。1972年の外交関係断絶以降、停滞気味であった台湾との人材育成に関する往来が新たなスキームの活用で再び活性化されることが期待されています。■IMCは日米両国の優れた企業管理ノウハウの吸収と実践を目的に1961年に設立された経営者団体。台湾全土に13の支社・約2,000名の会員を擁し、製造業やサービス業を中心に経営管理手法の普及・研鑽に関する支援を行っている。台湾の経営者団体(IMC)との覚書締結山陰のIT企業がインド人技術者を採用桒山AOTS理事長と陳IMC理事長

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