AOTSジャーナル11号(2017秋号)和文
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5No. 11 AUTUMN 2017PT. Indo Fuji Energiは同発電所3、4号機の建設工事時の元請企業よりタービン・発電機の据付工事等を受注し、2012年に工事を完遂しました。前述の5、6号機の超々臨界圧石炭火力発電設備についても工事を行う予定です。この拡張工事のプロジェクトは、日本企業が出資者として事業参画し、日本の高い技術を用いて長期に亘り運営・管理に携わる海外インフラ事業を金融面から支援するJBIC((株)国際協力銀行)の融資も受けているそうですね。日本政府の推進するインフラシステム輸出戦略に合致したプロジェクトの一部を御社のような中小企業が支えていることがよくわかりました。ところで今回、御社ではPT. Indo Fuji Energiの人材育成において、低炭素技術輸出促進人材育成支援事業の制度を活用されることになりましたが、その背景と育成計画について教えてください。PT. Indo Fuji Energiでは会社設立当初から人材育成を重視し、設立直後の1990年から2008年までAOTSの受入研修制度を利用して現地の従業員を定期的に日本へ派遣し、研修を実施してきました。設立時の立ち上げ要員は、日本での研修で技術力を向上させ、さらに日本的な業務のすすめ方を身につけて帰国しました。これらの能力はインドネシアでのプロジェクト現場で高く評価され、様々な日本企業からのプラント建設業務の更なる受注につながりました。これまでに数多くの発電設備の据付や長期メンテナンス等を受注した実績があります。前述のタンジュン・ジャティ3、4号機建設工事でもAOTSの制度を利用し研修を受けた技術者がプラント設備工事の現場責任者などの役割を担い、建設推進を支えました。今回、8年ぶりに研修制度の利用を検討したきっかけは、PT. Indo Fuji Energiでの世代交代により新たに若手指導者の育成が必要となったためです。以前の研修参加者のほとんどは現場を離れマネジメントを担当するようになってきており、いま第一線の現場で活躍している若手の幹部候補者を日本の研修に派遣したいというニーズを持ち続けていました。そこで今回久しぶりにAOTSの研修制度を利用したリーダー育成計画に着手することにしました。前述のタンジュン・ジャティ5、6号機は3、4号機に比べ高効率な超々臨界圧石炭火力発電であり、従来発電と比較して大幅なCO2削減が期待されています。より具体的には、発電量は680MW増える見込みですがCO2排出量は50万tの削減につながります。同発電所の設備建設の中核人材となる候補者に研修を行うことは、CO2削減につながるため、低炭素技術輸出促進人材育成支援事業の制度を利用することにしました。研修内容と研修生の帰国後の様子について教えてください。2016年度は在職年数6年から20年の6名の監督者を研修生として選抜しました。AOTSでの13週間の一般研修(日本の受入企業で行われる実地研修に先立ちAOTSの研修センターで行われる日本語や日本文化・社会についての研修)に参加後、中部電力(株)の西名古屋火力発電所(愛知県海部郡)内にある施設において8か月間の実地研修を行いました。大型タービン発電機の据付技術や長期メンテナンス技術、基礎工事、本体組み立て開始から終了までの品質管理技術に関する研修でしたが、実際の発電所での研修であるため、日本人社員が受けるものと同じ安全教育も受講してもらいました。研修後、指導担当者からは「建設の流れ、機器据付から試運転までの作業方法・危険予知活動についての理解を深めることができた。帰国後もこの発電所で経験したノウハウを別の場で活かすことができると思う。少しの事故でも大きな災害につながる作業なので、研修で得た危険予知の知見を活かしてほしい」との報告がありました。研修生は2017年3月に日本での研修を終えた後、いまはカモジャン地熱発電所改修事業(西ジャワ州カモジャン、発電容量30MW)にて機械および電力設備の建設に携わるなど、早速現場で活躍しており、研修の成果を実感しています。これらの経験を積んだ後、研修生には前述のタンジュン・ジャティ5、6号機拡張工事に中核メンバーとしてかかわってもらいたいと思っています。地熱発電は火力発電に比べ大幅な省エネルギーにつながる分野ですので、カモジャンの案件においてもインドネシアの低炭素化に大きな貢献をしているのですね。今後予定されているタンジュン・ジャティ5、6号機の拡張事業に向けても、帰国研修生のさらなるご活躍が期待できることと思います。本日はありがとうございました。西名古屋火力発電所における実習風景(左が研修生)研修生(白いヘルメットを着用)が活躍するカモジャン地熱発電所の据付工事
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