HIDAジャーナル10号(和文)
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7No. 10 SPRING 2017狩野先生からのお言葉1976年度のUNQCから数えてHIDAでの指導歴は40年となりました。時代に応じてコースの形態は変わってきましたが、毎年TQMの本質について指導を行ってきたという自負があります。中・上級管理者を対象とするPQMの前身はUNIDOから委託を受けたUNQCですが、当時は企業内演習も含めて8週間にわたって実施していました。1982年度にAOTS(当時)が単独で実施するPQMを開催するにあたり、3週間という期間の中でどのように教える内容をまとめるか苦労しました。参加者もこの40年で変わってきました。PQMが始まった頃は「品質」に対する実感があまりなかったようですが、最近の参加者は皆、強い問題意識を持ってコースに参加しています。また現在はネットでさまざまな情報が取れる時代なので、それなりの知識もあります。ただ、知識があるので内容を理解しているかというと必ずしもそうではなく、質問に対して見当はずれの答えが返ってきたりするので、指導側も注意して教える必要を感じています。コース開設当初は米国や日本ではできても、ほかの国で実現させることは難しいだろうと思っていましたが、今では、たとえばインドやタイといった国で見事に実践され、その事例が日本を含む外の国に伝播することも期待できる時代になりました。品質経営を全社的に実施していくためには、組織のトップを含む、各階層がそれぞれの役割を果たす必要があるという思いから、00年代半ばごろから数年かけて階層別にコースを編成しなおしました(階層別コースの詳細は9ページで紹介)。いずれのコースも講義や見学に加えて、習ったことを参加者が着実に理解し、自社に応用できるよう夕方にグループワークの時間を設けており、特にEPQMでは私自身もマンツーマン指導も含めたグループワークの指導にあたっています。ぜひ皆さんの参加をお待ちしています。時にユーモアを交え講義をされる狩野先生狩野紀昭先生狩野 紀昭 博士東京理科大学 名誉教授● アジア・クオリティ・ネットワーク(ANQ) 名誉会長(2005-), 初代会長(2002-04)● 積水化学工業 (株) 監査役(2003-09) ● コマツ((株)小松製作所)取締役(2008-14)  ● 日本品質管理学会  名誉会員(2010-)● アメリカ品質学会 (ASQ) 名誉会員(2014-)  ● 国際品質アカデミー(IAQ) 名誉会員(2014-)● デミング賞委員会(日本科学技術連盟) デミング賞本賞(1997)● 欧州品質機構(EOQ)  Georges Borel Award(2016)TQM研究の権威。長年にわたりTQMの研究に携わり、「TQMの館」、「魅力的品質と当たり前品質」(Kano Model)等、300編を越える著書・論文がある。特に、Kano Modelの提唱者として世界的に知られている。1997年にデミング賞本賞を受賞したほか、1997年に アメリカ統計学会(ASA) Deming Lecturer賞、アメリカ品質学会(ASQ)からは2002年に E. Jack Lancaster Medal、2006年にE. L. Grant Medalを受賞。2009年にはASQおよび品質運動に対する生涯の貢献に関するサービスに対して授与される最高のメダルであるDistinguished Service Medalを受賞。さらに2014年には、アジア太平洋品質組織(APQO)より Feigenbaum Medalを受賞。また、2009年には泰国技術振興協会(タイ)によってTQMを推進し優良経営で成果を挙げた企業に授与されるKano Quality Award(狩野品質賞)が創設、2010年にはアジア・クォリティ・ネットワーク(ANQ)によってアジアにおける品質の発展に貢献した個人に授与される石川馨教授と共に狩野博士の名前を冠した Ishikawa-Kano Awardが創設されるなど、数々の栄誉に輝く。

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