HIDAジャーナル10号(和文)
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HIDA JOURNAL4 HIDA人材育成事業の活用事例 次に、専門家派遣及び受入研修の両制度の利用事例として、各種金属精密部品の加工製造を行う株式会社プレックを紹介します。同社は戦時中の軍需品製造に端を発し戦後は精密工具、カメラ部品、コネクター等通信機器の電子部品を製造しており、2004年に株式会社プレックとして東京都青梅市に設立されました。その後2007年にベトナム・ハノイに100%出資のPREC, VN CO., LTD.を設立以降、製造拠点の軸足を海外に移し製造活動を展開しています。ベトナム工場はハノイ近郊のヴィンフック省ビンスエン工業団地に位置しており、2016年6月には第2工場が完成しました。2016年7月からHIDAから紹介のあった専門家を現地に派遣し旋盤加工技術について現地従業員に基礎から指導を行うと同時に2016年8月からベトナム人のリーダー候補2名を日本に受け入れ機械加工技術の研修を行っています。今回は、ベトナム進出の経緯や両制度を利用された成果、現地従業員の育成に関する思いなどについて代表取締役社長の村井英夫様にお話を伺いました。本社工場: 東京都青梅市新町8-5-6設  立: 2004年1月(創業 昭和20年頃)資本金:1,000万円従業員数: 国内18名、海外70名事業内容: 金属部品精密切削加工専門家派遣制度を利用し、ベトナム現地工場における技術指導を実現株式会社プレック今回の専門家派遣及び受入研修の制度を利用された 経緯を教えて下さい。ベトナム・ハノイの日本大使館に出向されていた経済産業省の担当の方からHIDAの制度を紹介いただきました。それまで補助金による海外人材育成支援制度の存在を全く知りませんでした。2016年に入り、2008年のベトナム工場稼動開始以来8年が経過して本格的に現地従業員の人材育成に取り組まなければならない状況に直面していました。受注に対して生産量が追いつかない、つまり受注量の増加と共に以前にはなかったような数のポカミスや不良率の発生という重大な課題を抱えていました。その原因はなんといっても技術力不足で、現地工場全体の技術力を底上げしなければ解決は難しいと痛感していましたが、根本解決に向けた具体的な方法にたどりついていない状況でした。そこで何かよい手立てを模索していたところHIDAの制度を知りました。当社のように海外に生産拠点を移して製造を展開していかざるを得ない状況の製造業、特に中小企業にとってはHIDAの制度のような支援は必要不可欠です。当社では社内に旋盤加工の基礎技術を備え、尚且つ海外に長期派遣できる技術者を抱える余裕はありません。そこでHIDAに相談したところ、当社の技術指導のニーズにぴったり合致する専門家を紹介いただき*1、更に派遣費用の補助も受けられて本当に助かりました。同時に以前から現地の従業員を日本に招聘して日本の現場や働き方を見てもらい技術習得を効果的に進めたいと考えていましたが、HIDAの受入研修制度のおかげでこちらも実現することができました。どのようなところで現地従業員の育成の難しさを感じられますか。また、現地従業員の育成においてどのような工夫をされているでしょうか。技術指導や研修を通して現地従業員の技術力を向上させれば不良数は減少できるはずだと考えています。しかしながら、技術を教えて単純に結果がでれば苦労はありません。従業員には一体どう説明したら理解してもらえるのか?トライアルアンドエラーの連続です。基本姿勢として、日本のやり方を単純に押し付けることはしないようにしています。「ベトナムの法規を遵守することはもちろん、ベトナムのやり方のよい所は伸ばしつつ取り入れていく」と従業員には常々話をしています。一方で、「具体的な方法や、やり方において日本の方が優れていればそちらを優先して定着させていく」とも話しています。たとえば、従業員に対する給料は会社が支払い2016年6月に完成したベトナムの第2工場

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