HIDAジャーナル10号(和文)
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13No. 10 SPRING 2017NEWS2016年9月3日(土)、第5回「看護・介護にかかわる外国人のための日本語スピーチコンテスト」を開催しました。今回は場所を東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターに移し、ご来賓として元内閣総理大臣・一般財団法人日本インドネシア協会の福田康夫会長ご夫妻に出席いただき、200名近い観覧者をお迎えする中、書類選考を通過した5か国10名の皆さんが看護・介護への熱い思いを語られました。 日本では医療・福祉現場への外国人人材の受け入れが進み、社会的にも大きく注目を集めています。HIDAでは経済連携協定(EPA)による看護師・介護福祉士候補者研修事業(以下、EPA事業)の初年度から同候補者の訪日後の日本語6か月研修に携わっています。全国の病院や施設で働きながら日本の国家試験の合格を目指す候補者の思いを多くの日本の人々に知ってほしいとの願いに端を発し、HIDAでは2012年よりEPA事業以外の外国人にも対象を広げコンテストを開催しています。今年度のスピーチは、全体的に明るく前向きな内容にあふれていました。特に、入賞者3名のスピーチは日本語の流暢さはもちろんのこと、起承転結といった話の組み立てにも聴き手の興味を引く工夫がされていました。時に来場者の胸を熱くし、さらには就労先の方言を交えるなどユーモアのセンスも十分に発揮して会場を笑いで包み、あっという間の3時間でした。表彰式では福田会長より、異文化環境での就労と日本語学習に奮闘する各出場者へ称賛のお言葉が寄せられたほか、観覧者からは会場でのアンケートを通じて、「異国の厳しい状況の中で、自らの思いを見つめ、責務を果たしている若者の姿に感動した」「日本の病院や介護施設で働いてくれている若い皆さんの、日々感じていることや考えていることを知ることができ大変勉強になった」、「日本も外国の方の考え方に学ばなければならない点がある」などのコメントが多数寄せられ、本コンテストが外国人看護・介護人材の生の声を聴く貴重な場となっていることが改めて確認できた一日となりました。コンテストの模様は当日深夜のNHKのBSニュースで放映されたほか、業界紙や団体機関誌など複数のメディアで紹介されました。なお、今回の出場者10名のスピーチ動画をHIDAホームページ(http://www.hidajapan.or.jp/jp/project/nihongo/sp2016/index.html)でご視聴いただけます。出場者のスピーチを通してぜひコンテスト当日の雰囲気を共有していただきたく思います。今後ますます国内の看護・介護現場で働く外国人材の数は増加し、他国が日本式の介護サービスを導入するケースも増えていくと考えられます。HIDAは、EPA事業の実施や、本コンテストでの取り組みを通じて、この分野での人材育成の期待に応えられるようにしていきたいと考えています。第5回 「看護・介護にかかわる外国人のためのスピーチコンテスト」開催「夢をあきらめない努力賞」を受賞されたドゥック・ティ・ホアイさん第5回コンテスト開催概要日 時: 2016年9月3日(土) 13:30-16:30 場 所: 国立オリンピック記念青少年総合センター 東京都渋谷区代々木神園町3-1主 催: 一般財団法人海外産業人材育成協会(HIDA) 共 催: 独立行政法人国際交流基金協 賛: カシオ計算機(株)、KBB,I&D(株)、(株)光洋スクエア、NPO法人国際保健医療支援・研究センター[IHAR]、(株)スリーエーネットワーク、 (一財)日本インドネシア協会、バンクネガラインドネシア東京支店、フィリピンナショナルバンク東京支店、BRIDGEOVER(株)、(株)凡人社、 (株)ラーンズ、大谷 秀昭氏、西田 達雄氏後 援: (公社)国際日本語普及協会(AJALT)、(公社)日本介護福祉士会、(公社)日本語教育学会、松本短期大学審査員: 嶋田和子氏(日本語教育学会 副会長)、木村久枝氏(松本短期大学 介護福祉学科 学科長)、佐藤由利子氏(東京工業大学 准教授)1位「利用者さんに拒否されることは、意外と・・・」 ファウジアトゥンニサ(インドネシア)介護現場で利用者に拒否されることが多く落ち込む日々を送る中、利用者に適切に対応する先輩職員の様子から、拒否されるのは自身のコミュニケーション力の不足であることに気づき、接し方を変えることで状況が改善された。拒否された経験が自分を省みるきっかけとなり成長につながった。3位「介護から成功を見つけた」 ホー・ティ・バン (ベトナム)人が羨む生活を夢見て来日したが、仕事は単調でやりがいを見出せずにいた頃、簡単と考えていたトイレ誘導やオムツ交換で失敗をする。落ち込む中、利用者へ素直な気持ちを伝えて感謝された経験を機に、成功とは人のために役立ち、信頼されることと考えを改め、介護のプロを目指す気持ちになった。真摯な学びの看護賞リンダワティ・メリアラ(インドネシア) 「看護に関して自己啓発を受けたこと」気持ちに寄り添う介護賞ソリス・ケン・ウェンディ・クリスティン・ドテ(フィリピン) 「介護の仕事で大事にしていること」夢をあきらめない努力賞ドゥック・ティ・ホアイ(ベトナム) 「私の夢」介護ありがとう賞タリエレヴァ・ナルギリア(キルギス) 「介護ありがとう」笑顔が作る幸せの輪賞インドラワティ(インドネシア) 「笑顔の大切さ」ハートとマインドの介護賞カセム・マイケル・アンソニー・ヨシイ (フィリピン) 「ハートの介護、マインドの介護」思いやりと優しさの看護賞王 晴(中国) 「一見ひどい看護の裏に隠れている優しさ」ファウジアトゥンニサ (インドネシア)「利用者さんに拒否されることは、意外と・・・」* 個人協賛者西田達雄様からの協賛金ご提供を受け、 来日間もないEPA候補者のうちから1名を選出。ファウジアトゥンニサさんのほか、コンテストに出場できなかった応募者のうち4名にも同賞が贈られた。2位「支えられて、励まされて」サリグンバ・メリーアン・バンザリ (フィリピン)来日当初は方言に戸惑う毎日だったが、3年経った今では自然に方言を使い利用者と接している。日々利用者からの「ありがとう」を聞く度に、介護の仕事へのやりがいを感じる。介護は天職であり、介護を通して自国と日本の架け橋になるという思いを強く持ちながら今後も精進していきたい。入賞特別賞西田賞*

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