HIDAジャーナル9号(和文)
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退任のご挨拶退任のご挨拶退任のご挨拶3No. 9 AUTUMN 2016去る6月28日の理事会・評議員会において、HIDA理事長を退任いたしました。AOTSの時代から数えますと9年の月日をAOTS・HIDAとともに歩んだことになります。振り返ればまさに「光陰矢の如し」の通り、瞬く間に過ぎた9年間でありましたが、一方で大波が幾度も押し寄せた期間でもありました。着任早々から2009年のAOTS50周年記念事業の準備に取り掛かりました。半世紀に一回という大事ですので各方面に協力を求め、世界中から同窓会が集まって記念シンポジウム、総会が盛大なうちに行われました。それを喜んでいた1か月後に、一番の大波が押し寄せました。それはいわゆる「事業仕分け」でした。予算の突然で大幅なカット等が決定され、組織の存続を問われるような事態に襲われました。それに対応し流動費のみならずセンター数の削減など固定費を含めた「リストラ生残り策」を行わざるを得ない状況でした。これら対処策の実行にあたっては全職員の理解と協力なくして実行できるものはありませんでした。経費削減のみならず、これまでの仕事の進め方、考え方を大きく変える必要がありました。リストラ策だけではなく新国際協力事業(NGC)を立ち上げるなど補助金に頼らない事業を始めました。どれもこれもAOTSという世界に類のないすばらしい組織を存続させたい、そのために自立的な事業運営が行えるようになりたいというものでした。もう一つの大波は2012年のAOTSと財団法人海外貿易開発協会(JODC)との合併、そして2013年の一般財団法人としての新たな船出です。異なる二つの団体が一緒になることは容易ではなく、何度も打ち合わせを重ねてすりあわせを行いました。平坦ではない道のりでしたが、何よりも人材育成を通じて世界の経済発展に貢献するという共通の思いが二つの団体を結びつけたように感じます。おかげで、現在では研修と専門家派遣というそれぞれの団体が培ってきた経験を強みに、より包括的に産業人材育成に携わることができる団体となりました。これらの大波の中でも変わらなかったのはAOTSの時代から続く世界に広がる人的ネットワークです。日本での研修という共通の経験を軸に元研修生たちは各地で同窓会を組織し、日本との架け橋になりたいという思いのもと活発な活動を行っています。各国の同窓会と触れ合うたび、その強い思いと行動力に心を打たれたものです。近年は日本企業の海外展開が加速し、現地の事情に精通した人材育成が急務となっています。そのようなニーズに応えるべく、このHIDAのネットワークと人材育成のノウハウを活かし2013年にHIDA総合研究所(HRI)を新たに設立し、同窓会ネットワークと協働した世界の産業発展に貢献する事業に取り掛かりました。今や今後のHIDAの事業構造改革を進め、将来のHIDA/AOTSのヴィジョンを語れる基盤ができたのではないかと考えています。在任中の9年間は協会そのものの存続にかかわる激動の時期でしたが、ようやくHIDAとしての基盤が固まってまいりました。これもひとえに経済産業省、産業界の皆様のご支援、また常に温かい声援を送ってくださる同窓会の皆様のおかげです。これからは次の半世紀の新しい歴史を築いていく発展の時期です。幸いなことに後任理事長に桒山信也氏という得がたい人材を迎えることができました。新理事長の下、役職員各位の一層のご健闘を祈念して退任のご挨拶といたします。(一財)海外産業人材育成協会前理事長 金子和夫
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