HIDAジャーナル9号(和文)
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11No. 9 AUTUMN 2016インドネシアでは、自動車関連産業や電気電子産業などを中心とした日本からの直接投資の拡大や2015年末のASEAN経済共同体発足によるグローバル化の加速の影響で、製造業の競争環境は厳しさを増しています。こうした状況下で、ローカル企業においても日系企業においても「生産性向上」が経営上の最重要課題の一つになってきており、日本式ものづくりの考え方をよく理解するエンジニア養成への期待が高まってきました。AMEICC事務局は、UNSADAにこのような産業界の要請に応えるエンジニアを輩出すべく新たに工学部産業工学科に「生産自動化技術者コース」を寄付講座として設置することとなりました。そして、AMEICC事務局機能を担うHIDAは、UNSADAやローカル企業、日本政府と連携して寄付講座の開設に向けて取り組むことになりました。寄付講座事業は日本とASEAN諸国の相互の経済発展の促進を目的としており、コース受講生が卒業後は日系企業に就職できるような仕組みの定着を目指しています。講座開設にあたっては、ジャカルタジャパンクラブに属する日系企業からカリキュラム開発への助言や日系企業でのインターンシップの実施といった形でご協力いただくなど、オールジャパンの体制で取り組んでいます。このUNSADA寄付講座事業のキックオフという位置づけで、AMEICC事務局/HIDAは2016年7月28日にUNSADAで記念フォーラムを開催しました。フォーラムでは、UNSADA学長によりインドネシア唯一のものづくり大学実現への改革意欲が宣言された他、支援企業の代表として現地日系企業からは改革実行へのエールが呼び掛けられました。おりしも同大学は本年創立30周年を迎え、同日午前中にはUNSADA主催の記念式典が行われました。記念式典には日本インドネシア協会の福田会長が出席され、UNSADAが「日本とインドネシア両国の掛け橋とも云える象徴的な存在」となることへの期待を込めたメッセージが述べられました。産業界からもインドネシア初の日本式「ものづくり大学」による産業人材育成プロジェクトへ大きな期待が寄せられており、AMEICC事務局/HIDAとしてその期待に応えてまいります。「日アセアン経済産業協力委員会(AMEICC)」*1事務局では、2016年4月より、ASEAN域内の日系企業の協力を得て現地大学等において寄付講座を設置し、講義、インターンシップ、ジョブフェア等を通じて、現地日系企業で求められる人材育成事業を実施することとなりました。当事業のインドネシアにおける一例目として、ダルマプルサダ大学*2(以下、UNSADA)に寄付講座が開設される運びとなりました。UNSADAを対象に行う寄付講座では、育成すべき人材像を「日本式ものづくりを理解し、かつ生産の効率化のための生産自動化に対応できる即戦力のエンジニア」とし、現地日系企業の協力を得て「生産自動化技術者コース」を開設し、インターンシップの実施も含め3年というプロジェクト期間の中で実施する予定です。寄付講座開設までの経緯と、開設を記念しUNSADAで開催されたフォーラムの様子をご紹介します。*1 ASEAN Economic Ministerial Meeting – Ministry of Economy, Trade and Industry of Japan (METI) Economic and Industrial Cooperation Committeeの略称。ASEAN諸国と日本の経済大臣会合の下に組織された「経済産業協力委員会」を指す。*2 日本への留学経験者らによるインドネシア元留学生協会が日本・インドネシア両国への感謝の証として設立した大学。日本語教育が盛んな他、工学部などもある。 日・ASEAN経済産業協力委員会(AMEICC)事業のご紹介 インドネシア ダルマプルサダ大学に寄付講座を開設フォーラムにて来賓、講演の先生と。右から4人目が桒山信也HIDA理事長ダルマプルサダ大学外観

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