HIDAジャーナル7号(和文)
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6 HIDA JOURNAL株式会社フクオカラシ成長する海外市場で販路拡大を目指し、ベトナムへ進出 -省エネ化を徹底して競争力を維持-まず、初めての海外進出をベトナムに決められた背景はどのようなものだったのでしょうか?当地鯖江には眼鏡関連企業が集積していますが、最近は眼鏡フレームも高級品と安価な量産品の二極化が進み、量産品はほとんど中国製になっています。高級品については国内で製造していますが、輸入ブランド品等との競争に勝っていくためには価格を抑えるためのコストダウンが必要です。そこで、海外に生産拠点を移し、低コストで生産した眼鏡用の金属部品を中国に供給するとともに、日本にも高級眼鏡用の金属部品を供給することで、販路を維持・拡大できると考えました。コストダウンも海外進出の理由の一つですが、成長する海外市場で様々なニーズを開拓していくことも大きな理由です。当初は中国を進出先として考えましたが、ベトナムに知見を持つ取引先から信頼できる情報を得て、ベトナムに決めました。過去2回の専門家派遣と1回の受入研修は、それぞれどのような内容だったのでしょうか?最初に現地で指導したのは私自身で、生産活動を行うための生産管理や品質検査、調達等のシステム作りについて、新規に採用した幹部候補の現地スタッフに対して指導を行いました。その時に直接指導した2名(総務・検査担当1名と生産担当1名)を翌年日本に受入れて、日本での仕事の進め方や品質について経験的に学んでもらった結果、現地側で最低限仕事が回せるレベルまで持ってくることができました。そこで、次のステップに上げる、つまり生産性を上げてコストダウンを図るために、再び当社の社員を専門家として派遣した次第です。やはり生産プロセスの合理化によるコストダウンを大きな課題として認識されていたのですね?現在、ベトナムの現地法人では眼鏡の蝶番を中心に製造していますが、その大半は中国に輸出しています。中国の現地メーカーとの価格競争は大変厳しく、できる限り製造コストを下げる必要があるため、生産プロセスの合理化を図ることになりました。そこでHIDAに相談したところ、低炭素技術輸出促進人材育成支援事業の利用により生産プロセスの省エネ化を実現し、同時にコストダウンを図ることもできると勧められました。その時は、現地エンジニア2名のうち1名が日本で研修している最中でしたので、残り1名を指導すべく、当社のエンジニアを専門家として派遣することにしました。2回目の専門家派遣では、どのようにして省エネ、低炭素化を進められたのでしょうか?次に、専門家派遣制度の利用事例として、眼鏡等金属部品メーカーの株式会社フクオカラシをご紹介します。株式会社フクオカラシは、2013年5月にベトナムのホーチミン近郊にあるロンドウック工業団地に現地法人(Fukuokarashi Vietnam Co., Ltd.)を設立し、眼鏡産業の集積地として有名な鯖江で眼鏡用ねじの専門メーカーとして築き上げた技術力を背景に、中国等アジア市場に向けた生産を行っています。2013年度には、現地法人の経営・生産システムを立ち上げるため、専門家派遣制度を利用して社員を現地に派遣し、現地スタッフを指導されました。また、2014年度には、受入研修制度を利用して現地スタッフ2名を日本に受入れて研修を行う一方、再度専門家派遣制度を利用して社員を現地に派遣されました。そこで、両制度を利用された経緯や成果について、企画課長の恩地様にお話を伺いました。本   社 福井県鯖江市柳町4-4設   立 1973年資本金 1,500万円従業員数 80名(2015年4月現在)事業内容 眼鏡等精密金属部品製造左から、恩地企画課長、現在研修中のTran Phuoc Sangさん低炭素技術輸出促進人材育成支援事業

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