HIDAジャーナル7号(和文)
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4 HIDA JOURNAL株式会社東芝「インド製」超臨界圧発電システムで環境負荷低減に取り組むまず、インドにおける御社の火力発電事業について 教えてください。当社は、インドにおいてグルガオン(ニューデリー近郊)、チェンナイ、ハイデラバードの3拠点で火力発電事業に携わるネットワークを構築しています。東芝JSW社グルガオン事務所がエンジニアリング、同チェンナイ工場が火力発電所向け蒸気タービンと発電機の製造、ハイデラバードにあるTPSC (India) Pvt. Ltd.がプラント機器の据付を行い、各社が連携することによりインド国内での火力発電プラントの供給を可能としています。インドでは高い経済成長率を背景に電力需要が堅調に増加しています。かつて、インドでの火力発電の主流は亜臨界*石炭火力でした。当社がインド市場で初めて受注したのは、ウッタープラデッシュ州電力庁アンパラ火力発電所向け500メガワット(以下MW)亜臨界方式蒸気タービン発電機2基で、1994年に運転を開始しました。また、2007年にインド政府が民間資本を導入して発電所を建設するウルトラ・メガ・パワー・プロジェクトとして、インド最大の民間電力会社・タタ電力からムンドラ発電所(グラジャード州)向けに800MW超臨界*方式蒸気タービン発電機5基を受注し、2012年から2013年にかけて順次運転が開始しました。その後は、東芝JSW社が超臨界方式蒸気タービン発電設備を、2012年にインド火力発電公社(以下NTPC)からクドゥギ超臨界石炭火力発電所(カルナタカ州)向け800MW機3基、Meja URJA NIGAM Pvt. Ltd.からメジャ超臨界石炭火力発電所(ウッタープラデッシュ州)向け660MW機2基、2014年にNTPCからダリパリ超臨界石炭火力発電所(オリッサ州)向け800MW機2基、合計7基受注しました。亜臨界石炭火力と比べ発電効率が高く、環境負荷の低減にもつながるため、今後は超臨界石炭火力が主流となる見通しです。* 発電効率を上げるには、ボイラーで発生させる蒸気をより高温・高圧にすることが必要。亜臨界方式とは主蒸気圧力17MPa、蒸気温度538℃クラス、超臨界方式とは同様に25MPa、566℃以上の蒸気条件のものをいう。会社であるToshiba JSW Turbine & Generator Pvt. Ltd.と東芝インド社の火力発電エンジニアリング部門を統合することにより、新たにToshiba JSW Power Systems Pvt. Ltd.(以下東芝JSW社)を設立し、2014年に販売・エンジニアリング・設計・調達・製造・建設・サービスの一貫体制を構築しました。各社が0.1%でしのぎを削り発電効率を追求している業界の中で一貫体制を強化し、ビジネス展開を図っています。インドをはじめとする新興国では急速な都市化と経済成長によりエネルギー分野のインフラ需要が高まりを見せています。こうした大幅なエネルギー需要の伸びが見込まれる新興国を含む世界各国に向けて日本企業が持つ優れた技術を輸出し、CO2削減及び省エネルギー対策に資する現地人材を育成するため、HIDAでは2014年度より低炭素技術輸出促進人材育成支援事業を実施しています。同事業の受入研修制度の利用事例として、CO2排出を抑えた高効率の火力発電事業でインドにおける複数の受注実績を持つ株式会社東芝 電力システム社をご紹介します。株式会社東芝 電力システム社は、インドにおける火力発電事業の強化を目的に、発電用タービン・発電機の製造・販売カンパニー概要名 称 株式会社 東芝 電力システム社所在地 神奈川県川崎市幸区堀川町72-34受注年・発注者納品先納品内容受注者製造拠点運転開始❶1989年ウッタープラデッシュ州電力庁ウッタープラデッシュ州アンパラ火力発電所500MW亜臨界方式蒸気タービン発電機 2基㈱東芝日本開始済❷2007年タタ電力グジャラード州ムンドラ発電所800MW超臨界方式蒸気タービン発電機 5基㈱東芝日本開始済❸2012年NTPC**カルナタカ州クドゥギ超臨界石炭火力発電所800MW超臨界方式蒸気タービン発電機 3基東芝JSW社インド2016年予定❹2012年Meja URJA NIGAM Pvt. Ltd.ウッタープラデッシュ州メジャ超臨界石炭火力発電所660MW超臨界方式蒸気タービン発電機 2基東芝JSW社㈱東芝インド日本2016年予定❺2014年NTPCオリッサ州ダリパリ超臨界石炭火力発電所800MW超臨界方式蒸気タービン発電機 2基東芝JSW社インド2017年後半予定表1 インドにおける蒸気タービン発電機受注一覧**インド火力発電公社制度活用事例 ―低炭素技術輸出促進人材育成支援事業―低炭素技術輸出促進人材育成支援事業
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