HIDAジャーナル7号(和文)
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12 HIDA JOURNAL2014年7月、ミャンマーの技術者養成学校の運営団体が日本企業の協力を得て、同国ヤンゴンに電気工事関連の職業訓練教室を開設しました。「サクラ‐インセイン テクニカル コース」と名付けられたその職業訓練コースは、ミャンマーAGTI協会(Myanmar Association of Government Technical Institute、以下AGTI)と、株式会社きんでん、住友商事株式会社の三者の協力によりミャンマーの電気工事技術者養成を目的として開設され、同国の課題である電力などのインフラ整備の遅れや熟練技術者不足の改善に向けた新たな取り組みの一つとして、注目されています。AGTIは、ミャンマーで100年以上の歴史を有する工科系教育機関であるGTI(Government Technical Institute)の元教員・卒業生の互助団体で、同教室はヤンゴン市街地から車で1時間ほど北にある旧GTIインセイン校のキャンパスを改修して運営しています。「送配電コース」と「一般内線電気コース」の2コースを設置し、電気工事の基礎となる体力づくりから、電気計算・電気基礎理論の座学、建柱・昇柱訓練、架線工事、配管・配線工事、電灯・動力回路の結線などの実技訓練、現場実習など、さまざまなカリキュラムが凝縮された実践的なプログラムとなっています。そして、その運営を担っているミャンマー人指導員6名は、同教室の指導員を目指してHIDAの制度により日本で研修を受けた方々です。2013年初旬、株式会社きんでんとAGTIの間で始まった、ミャンマーの電気工事技術者養成に関する協議の当初から、双方には「ミャンマー人生徒に職業教育を行うのはミャンマー人指導員とすべきである。」という共通の認識がありました。そのため、開講に先立ち、ミャンマー人指導員候補者を公募し、その中から6名が選抜され、電気工事の職業教育訓練プログラムの指導員としての技術を身に付けるため、HIDAの新興市場開拓人材育成支援事業の受入研修制度を通じて、技術研修生として2013年8月に来日しました。彼ら6名は、HIDA東京研修センターでの6週間の一般研修*の後、株式会社きんでんの社内教育訓練施設である「きんでん学園」(兵庫県西宮市)において、電気工事の実務などを学ぶ指導員養成講座を約半年にわたって受講し、サクラ‐インセイン テクニカルコースの開講に向けた準備を進めました。HIDAでの研修について、6名の帰国研修生のうちの一人、チョー・ミョー・トウィンさんは、「一般研修で最も印象に残っているのは、各授業の教授法。ミャンマーにはない教師・生徒双方向の授業スタイルは、指導現場でも活用している。また、一般研修中に習得した日本語やコミュニケーションスキル、日本で生活するうえでのルールやマナーは、その後の実地研修に大いに役立った。」と日本での経験を振り返ります。同じくチョー・タイクさんは、「一般研修中に見学した日本の工場が最も印象深い。また、日本企業の特徴に関する講義があったので、実地研修では配管実習、理論の座学、指導員の心得などに関する知識、技術をスムーズに身に付けることができた。」と語ります。*HIDA研修センターで日本語や日本社会・文化を学ぶ集団研修―――――――――――――――――――――――――――2015年3月に終了した第1期コースでは計38名の生徒が卒業し、現在では多くの卒業生が本職業訓練教室で習得した知識、技能を活かせる職場での勤務を開始しています。また、2015年4月に始まった第2期コースでは、初めての女性生徒を含む計26名が「送配電コース」及び「一般内線電気コース」の2コースに参加しているところです。また、初年度は株式会社きんでんの日本人指導員が現地に赴き、随時サポートしながらコースを運営していましたが、第2期以降はミャンマー人指導員のみで対応できる体制を構築し、「ミャンマー人の指導によるミャンマー産業人材の育成」という当初の方針を踏まえながら、ミャンマーの電力インフラの強化に向けた人材育成に取り組んでいます。ミャンマーの帰国研修生が現地職業訓練教室のインストラクターに―株式会社きんでんの技術支援によるミャンマー電気工事技術者養成支援プログラム―座学の様子配電実技演習の様子一般内線実技演習の様子

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