HIDAジャーナル7号(和文)
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10 HIDA JOURNAL株式会社モールドテックグローバル拠点で技術指導にあたるタイ人元研修生次に、受入研修と専門家派遣の両制度を利用し、人材育成に大きな成果を上げている事例として、株式会社モールドテック(顧客には「株式会社モールドテックジャパン」を通称)をご紹介します。株式会社モールドテックは、自動車や家電製品等に使用されるプラスチック製品用金型へのシボ加工を行っています。国内は横浜、埼玉、名古屋等に6工場、海外はタイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンに子会社があります。その世界規模のネットワークは、米国スタンデックス社のエッチング事業部であるモールドテック社との業務提携契約により構築されました。世界各国に業務提携先を有し、海外各地でのシボの加工・補修サービスに応える体制を整えています。本   社 神奈川県横浜市金沢区福浦2-8-15設   立 1974年資本金 7,000万円従業員数 118名(2015年4月現在)事業内容 金型シボ加工(自動車や電気製品等のプラスチック部品製造用金型の表面シボ加工)受入研修制度と専門家派遣制度を利用してみて、いかがでしたか?当社は2009年度から専門家派遣制度を利用し、社員をタイのサムットプラカーンにある子会社(SANKEI ENGRAVING TECHNOLOGY (THAILAND), Ltd.)に派遣し、タイ人技術者を指導してきました。指導内容は、射出成型金型へのシボ加工におけるシボ柄開発やシボ加工の品質管理です。専門家派遣制度を利用する中で受入研修制度があることを知り、2012年から利用するようになりました。日本で研修したタイ人技術者の定着率は非常に高く、退職した者はいません。シボ加工は特殊技術であり、業界も狭く転職先がないことも理由の一つかもしれませんが、日本人マネージャーの穏やかな性格がタイ人気質と合って、居心地の良い会社を作り上げていることも定着の良さの背景にあるのではないかと思っています。HIDAの制度を利用してタイ子会社の人材育成を継続的に行った結果、技術力が目覚ましく向上し、効果があったと実感しました。実際、日系自動車メーカーの顧客からも、「同業他社と比較して、技術力と品質が高い。」と評価する声を多くもらうようになりました。今や、タイ人技術者は日本人に代わり、世界各国のモールドテック拠点で技術指導や顧客対応を行えるまでに成長しています。サムットプラカーンにある子会社は2社合弁で設立し、共同出資者の工場敷地に間借りして操業していたのですが、2014年にはチョンブリに全額出資の子会社(SET THAILAND, Co., Ltd.)を設立し、着実に事業を拡大しています。当社としても、顧客からの高い評価はHIDA制度利用の成果の表れであると、高く評価しています。タイ人技術者のグローバルな活躍について、もう少し詳しく教えてください。当社は世界各国に業務提携先を持つため、顧客が海外で生産する製品については、通常は当社の海外拠点から対応しています。しかし、難しい技術や新製品に関する技術など、業務提携先では対応できない場合は、日本人技術者の代わりにタイ人技術者を派遣しています。日本本社にとってもタイ人技術者を派遣したほうが人件費を抑制できますし、業務提携先にとってもタイ人技術者のほうが技術指導料の支払対価を安く抑えられるので、喜ばれています。現在は、タイ人技術者をフィリピン、ベトナム、インドネシア、アルゼンチン、南アフリカに派遣し、技術指導や技術対応を行っています。具体的には、フィリピンでは2名が3ヵ月交代で、ベトナムでは1名が半年交代で、インドネシアには1名が転籍して勤務しています。この転籍したタイ人技術者はHIDAの元研修生です。日本で長期に研修したほか、何度も日本に出張しており、日本本社の技術についてよく理解しています。インドネシア人との結婚を機にインドネシア子会社に転籍したのですが、研修で磨いた技術力を活かし、転籍先の技術力向上のため、指導的立場で活躍しています。また、アルゼンチンと南アフリカにも1名ずつ派遣していますが、新製品対応で非常に高度な技術を要する場合は、タイ人技術者だけではなく、日本人技術者も1名派遣し、両者が力を合わせて技術指導にあたっています。シボ加工例:自動車部品シボ加工例:電子・家電部品新興市場開拓人材育成支援事業

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