HIDAジャーナル6号(和文)
23/28

21No. 6 SPRING 2015ンド女性ネットワーク支部議長を務めている。ネットワークは女性の能力開発、ヘルスケアに対するアドバイス、政策提言という機能を担っている。議長に推薦された際、自信がなく気乗りがしなかったが、今は全力を尽くすことで責務にも慣れ、前進もできると感じる。女性の参加が増えればGDPが上がるといわれる。日印両国とも今後の経済発展の鍵は女性にある。パネルディスカッションの部パネルディスカッションはプライスウォーターハウスクーパース株式会社パートナーの野田由美子氏をモデレーターにお迎えし、パネリストには基調講演者の石倉洋子名誉教授、Vanitha Datla氏とともに、日産自動車株式会社海外ビジネスマネジメント部主管の本廣好枝氏、研修参加者でElectronica Finance Ltd. (ノンバンク金融)役員のShilpa Pophale氏、Sandhar Technologies Ltd. (自動車部品メーカー)幹部のVinita Shaw氏が登壇されました。 Shilpa Pophale氏発言要旨父親が起ち上げた企業のグループ会社の社長。事業内容は主に中小企業を対象とした機械設備導入の資金調達。仕事でインドの中小企業で働く女性に会う機会が多い。そこで感じる課題は、家事、育児と仕事を両立することに対する支援不足、そして女性個人の考え方である。教育があってもリスクを恐れたり家庭に入る方が楽と考え、キャリアを断念してしまう。特に起業家を目指す女性に対し、自分に自信を持つこと、キャリアを追求する意欲を持つこと、すべて完璧にこなそうと思わず時に気楽に構える余裕を持つことを伝えたい。女性幹部のいる会社の方が良い成績を残すことができる。 Vinita Shaw氏発言要旨自動車部品メーカーに勤務。我が社は男女の機会平等、学費補助、産後の在宅勤務支援、託児所整備などの施策をとっている。自身の働き方を振り返ると、女性が少なかったためか周囲にロールモデルが見つからなかった。しかし日々、昨日よりも成長する自分を目指し、自分自身がロールモデルになればよいと思う。インドで女性進出を支援するためには教育、就業の機会を平等に与えること、そして考え方を変えることが必要。法律で役員の1%は女性が占めるようにと定めているが、数値ではなく個人の考えが変わらなければ達成できない。女性は家庭において家事と育児をこなす良いマネージャーであり、企業でもその能力を発揮できる。 本廣好枝氏発言要旨2005年に日産インド株式会社の初代社長に就任。日産は提携先のルノーから影響を受け社内の多様化が進んでいる。多くの女性幹部がおり、会社の指針である日産ウェイでこの多様化を推進している。女性の活躍推進の施策にはキャリアアドバイザーとの面接、研修、イントラネットを用いた情報提供、託児所の設置、自宅勤務推奨などがある。課題は、更なる上位層に女性を登用すること、次の女性管理職が生まれるよう若い世代を支援することである。自身がここまで来られたのは上司の働きが大きい。インドに会社を立ち上げる際は自分に現地社員採用のすべてを任せてくれた一方、常に自分の業務に目を配ってくれた。女性の社会進出に対して日本の社会、仕組みは変わりつつあるが、女性も男性も考え方の変化が足りない。女性は昇進などの機会を与えられても躊躇する傾向があるし、男性はいまだに伝統的な男女の役割分担にとらわれている。どんな物事も一人ではできないので、お互い理解しコミュニケーションをとることが大切である。多様化について考える必要がない社会をつくるのが最終目標。3名のスピーチのあと、今回のパネリストたちが今の成功に至った理由について議論がなされました。パネリストごとに少しずつ意見は異なりますが、共通するのは、常に自分自身に何ができるのか、どう社会に貢献できるかといったことを問いかけ、リスクや失敗を恐れず追求してきたこと、仕事を続けるうえで家族、特に夫のサポートが得られたという点でした。また、石倉教授が基調講演で話されたより広い視点を持った会社づくりという点については、男女が平等に昇進できる制度を整えること、施策はトップダウンで行うべきということ、考え方を変えるのは困難なので、たとえば評価制度の変更など、まずは行動変容を促すことから始めること、といった意見がパネリストから出されました。モデレーターの野田由美子氏本廣好枝氏Vanitha Datla氏Vinita Shaw氏Shilpa Pophale氏

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です