HIDAジャーナル6号(和文)
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17No. 6 SPRING 2015ナムから直接コンタクトをして提案を出し、その後来日し企業を訪問します。日本人は義理堅いところがあるのでベトナムからわざわざ訪問してくる人にきちんと対応してくれます。日本式の営業スタイルでベトナムの手土産を持って日本語で訪ねてくるのですから良い関係が築けるのです。本社が行っているのは長期スパンでの経営方針や利益管理、ベトナムではできない顧客日本企業の与信管理等です。また、月次、半期、年度の会計報告は役員全員で受けています。現地化に成功した秘訣はなんでしょうか?彼らは礼儀正しく素直で真面目です。言われたことを素直にやったら成功して今がある。それが分かっているから素直にやるのでしょう。たった3年前に入社したAさんが課長、5年前のBさんが部長、社長も7、8年前は自分と同じで日本に研修に行った人と分かっているからやる気も出ます。会社が拡大すれば部下が増え自分の仕事は楽になり給料は高くなる。岐阜工業の社長の言うことを聞いていれば褒められて自分の生活が楽になるなら言うことを聞かない理由がないのです。帰国した研修生が毎日他の従業員に日本語を教えるそうですが、これらの仕組みづくりはどのようにされたのでしょうか?我が社では外国人に日本語を徹底的に教えるという考えがありますので、日本での研修中、社員がものすごく熱心に日本語を教えます。また、時間が空いている人が気軽に研修生の所へ行って日本語で話をするということがよくあります。ですから研修生も毎日日本語の勉強をします。ベトナム社内での日本語教育体制については最初に本社の考えを伝えました。研修から帰国する人の日本語能力は帰国する日が最も高く、帰国後少しずつその能力は落ちていきます。日本語能力をどれだけ維持できるかが重要であり、そのために彼らは工夫し努力しています。特にお客様が付いてくると日本語のやり取りが増えるため勉強する必要が出てきます。営業する、日本語図面を書く、お客様と打ち合わせをする、間違えれば謝る。これらを電話やメールで行うことは日本人でも難しいと思います。それをやることが勉強にもなっています。今後の人材育成について教えてください。日本での研修は今後も続け、来年度以降は人数を増やしたいと考えています。研修を受けた高い技術を持った人が増えれば、現地の会社が大きくなって利益を出しやすくなります。日本の設計会社の中には少数精鋭で実績を出している会社も少なくなく、場合によっては一人で処理をする仕事量に限界が生じる事も考えられます。技術力が高く日本語の話せるコストの安いベトナム人を多く抱える岐阜工業ベトナムでは、このような状況を救うお手伝いを担う事ができるのです。信頼を勝ち取る事ができれば、以後の仕事の受注につながる可能性があると思っています。小規模であっても将来性のある企業様と数多くお付き合いをさせていただく事が今後の目標でもあります。先日、HIDAの海外研修制度を利用して、私(北川社長)と永田取締役が講師となりベトナムとカンボジアで経営幹部候補者を対象とした各3日間の研修を行いました。これまでも現地経営陣とはいろいろ話をする機会はありましたが、研修という形で何を話せば彼らが納得するかということを考えて話をしたことはありませんでした。どのような視点で経営を行っているのか、お客様に対する考え方は日本人と彼らとで同じなのかといったことなどを考え講義したことはなかったため非常に良い機会となりました。今後はベトナムでの人材育成を強化するとともに、カンボジアでもベトナムの経験を活かして人材育成を進めて行きたいと考えています。トンネル用型枠の前で。左より鷲見取締役・品質保証室部長、北川代表取締役社長、永田取締役・経営企画部長。日本で研修中のベトナムとカンボジアの研修生

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