HIDAジャーナル6号(和文)
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HIDA JOURNAL16 ~同窓会代表者会議特集版~ HIDAの人材育成事業活用事例 成功事例大会ではHIDAの受入研修、専門家派遣などの制度を活用し、現地子会社等の人材育成に取り組む日本企業の事例も多く寄せられました。今回は現地子会社等の「現地化」に積極的に取り組まれている企業の事例をご紹介します。最初は成功事例大会でこれまでの取り組みをご紹介してくださいました岐阜工業株式会社の事例です。同社はトンネル用型枠で国内トップシェアを誇る企業で、ベトナムとカンボジアに全額出資で設立したグループ企業の幹部候補者育成にHIDAの受入研修、海外研修を活用して成果を上げています。ベトナムではHIDA受入研修を受けたパム・ディン・ルッさんが2011年6月に現地の社長に就任し、それ以降日本人駐在員を引き上げ、ベトナム人だけで現地会社を運営しています。本  社 : 岐阜県瑞穂市田之上811番地設  立 : 1973年資本金 : 6,000万円従業員数 :200名(2014年4月現在)事業内容 :トンネル用型枠・建設機械の設計・製作・ 販売日本人駐在員ゼロ。ベトナム人だけでの現地子会社経営岐阜工業株式会社成功事例大会では岐阜工業ベトナムのルッ社長がベトナム人だけで行っている経営について発表してくださいました。現地化までの経緯について教えてください。岐阜工業ベトナムではトンネル型枠や橋梁のCAD/CAM設計を行っています。設立当初の仕事は本社から依頼した設計業務だけでしたが、2011年以降、現地から日本に直接営業を行い、日本企業から設計の仕事をいただくことが増えてきました。しかし、進出当初からベトナム人だけでの経営を考えていたわけではありません。日本人駐在員には大きなコストがかかることはわかっていましたが、現実にやってみるまでは実感としてわかりませんでした。毎月赤字の報告が来るようになり、その原因を調べたら日本人駐在員の経費が大きな部分を占めていたのです。進出当初は仕事も覚えていないのでうまく回らないのは当たり前です。そこにコストの高い日本人を充て続けて絶対失敗しないよう短期間で仕上げるか、それともコストの安いベトナム人に任せて頑張れる期間を長くするか、この2択を考えた時、我が社は後者を選んだのです。岐阜工業ベトナムを設立した2007年当時はリーマンショック前で、日本はミニバブル状態でした。土木業界は人手不足で特に中小企業には人が集まりにくい状況の中、海外の人を早く育成する必要がありました。第1期生は2005年に日本で研修を実施しましたが、人を早く増やさないといけないという考えがあったので、当初から、研修生を毎年日本に呼ぶことを計画していました。2011年に日本人を引き揚げて現地化した後は日本人の駐在コストを現地の人の研修に回せています。岐阜工業ベトナムと日本の本社の関係はどのようになっていますか?本社からは「会社を拡大してくれ」とは伝えていますが、そのために何をするかは現地側が自由に決めています。極端に言えば何をやっても儲かれば良いということですが、彼らができるのは図面が書けて日本語が話せることなので、今はそれで勝負しています。人の採用も任せています。有能な人材かどうかは実際に採用してみないとわかりません。それであれば面接する側も現地語が話せて現地事情が分かった人の方がいいですし、長い目で見て自分が管理する側になった時に使いこなせると思える人を雇うでしょう。営業も彼ら独自で行っています。日本にある企業にベト成功事例大会にて。流暢な日本語で発表を行う岐阜工業ベトナムのルッ社長

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