HIDAジャーナル5号(和文)
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5No. 5 AUTUMN 2014を拡大するという対策をとることができました。加熱バーナーを拡大したのち、データを収集しましたが、それでも不良が発生し、塗型が剥がれることが原因ということがわかり、今度はその対策をとるようにしました。このように、対策をとり、調査分析を行い、真因を追及し、という作業を繰り返しました。こうした一つ一つの積み重ねにより現地管理者の間でセオリーに基づいて対策をとるということが根付きつつあると感じています。指導の結果、不良の削減について、数値目標はほぼ達成できました。しかし、日によるバラツキがまだ発生しており、課題は残っています。現地で指導するにあたり、管理者の反応はどうでしたか。管理者の積極的な参加を促すために工夫されたことはありますか?管理者はみな不良対策に非常に興味を持ち、積極的に協力してくれました。また、基本的にインドネシアの人たちはアットホームで親しみやすいと感じました。しかし一方で、きちんと目を光らせていないと、するべき仕事が実際にはできていないといった問題もあり、注意は必要です。工夫については、管理者の人たちの積極的な参加を促すため、一つ一つの事に対して、きちんとできていれば「ありがとう」、あるいはインドネシアの言葉で「テレマカシー」と声をかけ褒めるようにしました。また、良いことを見つけたら、ミーティングの場等で発表するようにしました。そうすることで、管理者のモチベーションの向上が図れると考えたからです。P.T.ナカキンインドネシア設立以来、今回の藤原専門家も含め、専門家派遣制度を何度かご利用いただいていますが、専門家を現地に派遣することの効果や強みはどこにあると思われますか。現地に日本人を常時駐在させるのは難しいので、専門家派遣制度を活用し現地の従業員を指導できる機会があるのはありがたいです。そして専門家として派遣されることで、専門家として選ばれた当社の社員は事前によく勉強します。人に教えることで自身の持っている知識が整理され、また質問されることで更に勉強し、自己研鑚されます。また、最大の効果は自分で考えて判断できるようになっていくことです。日本では周りに先輩がいて容易に質問できる環境ですので、自分で資料を探して勉強する必要がありません。一方現地では自分が教える立場なので、自分自身で学んでいくしかありません。専門家として派遣される社員自身の成長も、この制度の大切な効果の一つと考えています。 御社では様々な機会を活用し、人材育成を進められていますね。その他御社で大切にされている考え方やモットーがありましたら教えてください。あえて難しい仕事をとり、それに挑戦することを通して高品質・短納期・低コストを追及するようにしています。競争の激しい業界ですので、取り組みやすい仕事に流れないようにすることで自社の能力を高め、競争力をつけることを意識しています。また、若い世代の人材育成が課題ですが、技術革新に関する発表の場を設けて切磋琢磨させています。最後に、今後の事業展開について教えてください。事業内容を多角化して取引先や業種の偏りを解消することにより、経済変動の波を抑える経営策を模索しています。そのため、現在好調なアルミ鋳造部品製造からステンレス組立加工製品販売の方面へ少しずつ事業を展開していきたいと考えています。日本での事業に改善を加えていずれインドネシアで実践していきたいと思っています。 お話を伺い、専門家派遣制度を活用し現地従業員の人材育成はもちろんのこと、国内の人材についても意識的に育成されていることを感じました。また、今後の事業展開においてP.T.ナカキンインドネシアの果たす役割もますます大きくなりそうですね。貴重なお話をどうもありがとうございました。P.T.ナカキンインドネシアの工場にてP.Tナカキンインドネシアで製造しているエンジンの吸気系部品 (インテークパイプ)

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