HIDAジャーナル5号(和文)
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HIDA JOURNAL8いう視点を持ってもらうことです。配膳や掃除など、お客様になるべく近いところでの作業経験を通して重篤度別の要介護者への接し方を学んだり、我が社のグループ会社(有料老人ホーム経営、訪問介護サービス、介護用品レンタル・販売、フードサービス、調剤薬局、医療福祉専門学校など)を活用し、デイサービスの訪問入浴の見学、福祉用具のメンテナンス見学など、日本の介護関連事業を幅広く見てもらいました。日本での研修を通して、ケアサービスという概念や、ケアサービスに「おもてなし」の心がどう表現されているのか、また、チームで連携して作業することの大切さを習得してもらうことができました。研修生はみな、共通して日本のサービスのきめ細かさ、病院とは違う介護サービスという新しい概念に目からうろこだったと言います。これらは日本で研修を行わなければ成し得なかったことで、現地従業員の人材育成において貴重な機会でした。* 経済連携協定(EPA: Economic Partnership Agreement)のこと。EPAに基づき、2008年度からインドネシアの看護師・介護福祉士候補者を日本に受け入れ、研修を実施。現在はフィリピン、ベトナムの看護師・介護福祉士まで受入が拡大。HIDAではインドネシア及びフィリピンの候補者に対し、来日後の日本語研修等を実施している。# 株式会社喜久屋 (東京都)「タイに日本式クリーニング店を」業  種: クリーニング業従業員数: 18名展開国 : タイ我が社は首都圏を中心に100店舗以上のクリーニング店を展開しています。現在のタイは昔日本でもあったクリーニング業のチェーン展開前夜という環境です。バンコクに限れば高級クリーニング店か、いわば洗濯代行のような町のクリーニング屋のいずれかしかなく、中間にあるはずのクリーニング業者が存在しません。一方、日本のクリーニング市場の需要はピーク時の半分以下に落ち込み、機械も人材も余っているため、これらをタイに持っていき、タイで日本式のドライクリーニング業を展開しようと考えたことが海外進出のきっかけです。タイの同業者を友好的に買収し、喜久屋タイランドを設立。HIDAの専門家派遣制度を利用し、現地従業員指導のため専門家2名を約1か月間派遣しました。専門家派遣前の工場は、ご依頼品が乱雑に散らばり、従業員が作業台で昼休みの仮眠をするといった状況でした。専門家は日本から導入した機械の操作方法、溶剤の使い方、水温管理方法等を指導しました。専門家派遣時に生産性を3.3倍にするという目標を伝えましたが、現地従業員の理解が早いこともあり、派遣からまだ約半年ですが、すでに3倍近くまで到達しています。一方、クリーニング業で重要な店舗・工場・物流・本社機能の連携についてのシステムの移植は指導が難しく、依然課題として残っています。以前、独自で現地従業員を日本によんで短期間の研修を行ったことがありましたが、言葉の問題でうまくいきませんでした。現地従業員の人材育成の難しさ、大切さをあらためて実感しています。人材育成には継続的な研修が必要です。今後は来日直後の導入研修として日本語の学習も行っているHIDAの受入研修制度も活用して人材を育成していきたいと思います。$ 株式会社ナカザワ (滋賀県)「三方よしの精神を海外で展開する」業  種 : 時計・宝飾品等販売業従業員数: 179名展開国 : 中国、ベトナム、カンボジア我が社はイオン系のショッピングセンターを中心に国内約50店舗展開していますが、その関係でイオンモールの中国、アセアン地域進出にあわせ、我が社も出店することになりました。出店前の現地調査で、三つの点で強みを発揮できると感じました。一つ目はお客様への商品説明です。現地の時計店では商品説明はほとんどなく、詳しく聞くと取扱説明書を渡される始末です。二つ目はラッピングです。現地ではほとんど包装をしていません。きれいなラッピングで商品をお渡しすることで、贈られた人にわくわく感を与える日本らしい贈り物の文化を提供できると感じました。三つ目は購入後のメンテナンスです。例えば現地では8~9割のお店で電池交換を受け付けておらず「買ったら終わり」の状況でしたが、我々のお店では日本と同様に購入後もきちんとサポートしたいと考えました。このように日本の「おもてなし」を体現したサービスを提嶋田取締役

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