HIDA JOURNAL 2014 SPRING No.4
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6 HIDA JOURNAL1994年にHIDAの管理研修コースであるインド中小企業経営者研修コース(Program for Indian Entrepreneurs:PIDE)に参加されていますが、研修に参加しようと思った動機を教えてください。1991年に初めて日本で研修を受けた時はセールス部門の担当者として技術のみを学びましたが、1994年には経営の一翼を任されることとなり、マネジメント業務の比率が大幅に高まっていました。そのため、経営者としてどのように経営していけばよいかを学びたいと思い、参加しました。HIDAの講師陣による素晴らしい講義と、株式会社ノリタケカンパニーリミテド、株式会社神戸製鋼所等のグローバル企業の経営事例に直に触れることが出来たことが大きなインパクトとして残っています。Lamba氏が1994年に管理研修に参加した後は1997年から2007年にかけてIAIから何人かの社員がHIDAの企業経営や生産管理などの管理研修に参加されています。社員の方々をHIDAの管理研修に参加させる理由は何でしょうか。彼らが帰国した後、日本での研修を活かして活躍されていますか。先に述べた通り、知識と経験を共有することを一層進めるため、当社の幹部人材をHIDAの研修に派遣しました。関連会社も含めると全部で11名が参加しましたが、うち9名が現在も会社に残り、シニアの経営幹部としてそれぞれ活躍しています。離職した2名のうち1名も、当社のサプライヤーに転職し、今でも一緒に仕事に取り組んでいます。ご存じの通り、優秀な人材が次々とジョブホッピングを繰り返すインド社会の中で、我が社のこの高い定着率から見ても、HIDAの研修の成果が分かるのではないでしょうか。彼らが、ポカよけの小さな工夫から、5S、現場改善活動、見える化、全社的なレイアウト改善に至るまで、それぞれのプログラムで学んだ知識・経験を当社に取り入れてくれた結果、特に製造現場に大きな変革が起こりました。そして、こうした取り組みが日本企業からの信頼を得ることにつながっていると信じています。御社の業績は大変順調だと伺いました。日本企業との取引も拡大されているようですが、その秘訣を教えていただけますか。日本企業とは次の3つの関係を持っています。1つ目は購入先としての日本企業。中規模の日本企業がサプライヤーとして部品を納入してくれています。2つ目は、納品先としての日本企業。スズキ株式会社、トヨタ自動車株式会社、株式会社日立製作所、株式会社小松製作所等の大企業のサプライヤーとして当社が部品を供給しています。3つ目は、合弁パートナーとしての関係です。当社の場合、東海ゴム工業株式会社がこれに当たります。当社は7年前にファリダバードに東海ゴム工業との合弁会社Tokai Imperial Rubber(TIR)を設立しましたが、2012年に新たな合弁会社Tokai Imperial Hydraulics(TIH)を設立しました。現在、ジェトロが協力するニムラナ日本企業専用工業団地に工場建設を進めており、2014年4月に操業開始の予定です。当社は、規模の大小を問わず多くの日本企業との関係を有していますが、HIDAで学んだことは、日本企業と仕事をする上で本当に役立っています。概して日本人は保守的で、打ち解けあうには時間がかかり、信頼関係を築くのは容易ではありません。また、言葉の面からも、なかなかコミュニケーションが難しい場面に遭遇します。そこで、大昔にHIDAで勉強した日本語で簡単な会話をしたり、日本食やお酒を楽しんだり、文化の話をしたりすることで、徐々に気持ちがほぐれて来て、友人関係となることができます。それによって、日本企業との信頼関係を早く築くことが出来ます。余談ですが、最近、日本出張で取引先とゴルフをする機会があり、ゴルフの後、一緒にお風呂に入ることになりました。公共の場で入浴するのは生まれて初めての経験でしたが、このような「裸の付き合い」を通して、日本企業と信頼を築く方法があるということを知りました。日本企業は、一度、信頼関係を築くことが出来れば、困難なことはありません。日本企業からの信頼を損なわぬよう、HIDAの研修を通して学んだ3つの事柄を忘れず、仕事に取り組んでいきたいと思っています。――本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。改善の成果を現場で共有社内での研修予定を見える化ラインを改善

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