HIDA JOURNAL 2014 SPRING No.4
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No.4 SPRING 2014 5後の仕事にどのように活かされているのかをお伺いしました。[取材日:2013年11月28日 聞き手:インド・ニューデリー海外研修員 三谷知]Tokai Imperial Rubber India (TIR)インドの元研修生Tarun Lamba氏は、Imperial Auto Industries Ltd.(IAI)の技術者として1991年に来日し、その後、1994年には経営の一翼を担う役員として経営管理を学ぶために再度来日しHIDA(当時のAOTS。以下、HIDA)の管理研修コースに参加しました。現在、Lamba氏はIAIのDirectorとして活躍するとともに、日本の自動車用ホースメーカーである東海ゴム工業株式会社(Tokai Rubber Industries, Ltd. : TRI)との合弁企業であるTokai Imperial Rubber India Ltd. (TIR)(2005年11月にデリー市の南にあるハリアナ州ファリダバードに設立)の役員としても多忙な日々を過ごしています。本号では、2度にわたる日本での研修に参加した後、IAIの業績を大きく伸ばし、日本企業との合弁によるビジネスも拡充させているLamba氏に、HIDAの技術研修や管理研修がその「20年の時を経て大きく花開くHIDAの人材育成事業」IAIの外観1991年にHIDAの技術研修生として来日し、静岡県にある自動車メーカーで3ヵ月間研修を受けて帰国されましたが、当時の日本の印象や、研修で学んだことを教えてください。日本に来る前は、機械による自動化の技術が進んだ国と言うイメージを持っていましたが、来日してみると、まず、機械よりも思いやりの心に溢れた人々に大変な衝撃を受けました。私たち外国人に対しても、誰彼の分け隔てなく接してくれました。例えば、駅に行くための道に迷っていたら、通りがかりの方がその駅まで付き添ってくれたことなど、インドにいる時には考えもしないことでした。最初の来日では、大きく3つのことを学びました。信頼関係の構築一つは、信頼関係を築くことの重要性です。他者と仕事をする際に最も大切なものは信頼です。時間に遅れたり、約束を守らなかったりすれば、どんな場面においても良い信頼関係は築けません。規律正しく責任感を持って仕事をし、信頼関係を築いていく日本人から多くを学ぶことが出来ました。ある会社では、従業員の出勤簿がないことに驚きました。出勤簿をつけなくても従業員が遅刻もせずに仕事に取り組むことはインドでは考えられないことです。個々の責任感と高い信頼関係があってのことで、それは、単に組織内だけではなく、日本国中がそのようであることを感じました。こういった意識が日本の成長を支えてきたのでしょう。インドという国全体を変えることは出来ないかもしれませんが、帰国後私は社内でこの様な価値観を少しでも加えることが出来るように取組んできました。知識や経験の共有二つめが、学んだ知識や経験を共有することの重要性です。インドでは、自分の知識を職場の中であっても中々共有したがりません。しかし、それを共有することで大きな成果が生まれることを、日本人の働き方を通して学びました。改善の積み重ね最後は、小さな改善の積み重ねです。日本人の働き方を見てみると、小さな改善をこつこつと続けていくことで、物事をより良くしていこうという動機づけにつながっているように感じました。インドでは、物事を良くするためにはとにかく大きな投資を考えることが普通ですが、大きな投資をしなくても、日々の小さな改善を個々人が行うことで大きな成果が上がるということを学びました。これら3つの事柄は、自分の中で大きな影響を与えており、現在、経営者として仕事をするにあたっても、常に念頭に置いて社内で実践するようにしています。特に、社内外を問わず良い関係を築くことと人々を動機付けすることに大いに役立っており、インドの現地企業と当社の大きな差別化要因になっています。Tarun Lamba氏

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