HIDA JOURNAL 2014 SPRING No.4
18/28

16 HIDA JOURNALQCTCコースの現場からQCTCコースは、日本企業に特徴的な「経営・管理手法」やその根底にある考え方を学ぶために設計された各国混成で実施される管理研修コースです。開発途上国の製造業に従事する管理者を対象に、TQMの実践についての理解を深め、包括的なシステムとしてのTQMを推進する能力の向上を図ることを目的とし、講義や演習、事例見学を通じて日本のTQMを体系的に学び、実践的な管理技術・知識を習得できるように設計されています。HIDAの数ある管理研修コースのなかでも歴史は長く、1979年のコース開始より現在までに35年間で毎年1回、計35回のコースを実施しています。カリキュラム内容やスケジュール設定において、より効果的な研修成果をあげるためにコース改善を繰り返し、当初6週間だったプログラムは現在では2週間の研修になっています。各国混成のコースですが、参加者の国籍はアジアが大多数を占めます。2013年度のデミング賞をインド、タイの企業が受賞していたことからも、東南アジアの国々で品質管理に対する意識が高いことがわかります。また、近年ではアジア地域のなかでもバングラデシュ、ネパールなどの新興国からの参加者もいます。参加者が所属する現地企業のなかには、同社の品質管理の将来を担う中間管理者や専門スタッフの参加を毎年継続的にサポートしようとする企業もあります。現在の具体的なカリキュラムは、日本のTQM実践において重要な「日常・方針管理」「新製品開発」「品質保証」「生産システム」「QCサークル」「問題解決と継続的改善」という6つのトピックを網羅し、体系的に学ぶことによって日本企業の品質への取り組みとその強みの理解が深まるように設計されています。また、2週間のプログラムの中で座学のみを行うのではなく、午前中の講義で学習したトピックを午後にケーススタディやシミュレーションといった演習を行うことで、さらに実践力を磨く研修となっています。様々な業種の参加者に向け、可能な限り業種別に応用できるケースを取り上げているため、帰国後自社にて応用・改善することが出来たという嬉しい報告をいただくことも多いです。 [事業推進部 事業受託2グループ 和田恭子]演習の様子(関西研修センター)■東北アジア■東南アジア■南アジア■中東■アフリカ■中南米■ヨーロッパ328人47%188人27%23人3%51人7%75人11%13人2%25人3%QCTCコースの参加者 地域別(人数、%)(1979~2013年度)研修生の声QCTCコースに参加した元研修生からも、主任講師であった岩崎先生のデミング賞受賞のニュースに喜びとお祝いのメッセージが届きました。そのうちの一人イランの元研修生から届いたお祝いのメッセージと、本コースに参加したことで品質に対する意識が高まり、自社内での品質管理の向上に研修内容が貢献しているという報告をご紹介します。Masoud Ghasemi Sameni氏(品質保証部 マネージャー)(2009年度のQCTCコースに参加、Behshahr Industrial Company(食用油製造)勤務)QCTCコースに参加し帰国後、自社内で品質管理に関する改善提案を出しました。さっそく提案内容が採用され、不良改善に繋がりました。ご指導くださった主任講師の岩崎先生にはとても感謝しておりますし、今回デミング賞受賞のニュースを聞き、そのような講師に教わったということを誇りに思います。コースでは特に、問題解決と継続的改善のアプローチについて講義・演習を実施する時間が多く設定されていました。その中の演習の一つに、不良に関するデータをとり、要因を分析し、製品の効率よい出荷を妨げる問題や品質不良を起こす問題を取り除き、いかに標準作業化して日常業務に落とし込むかというシミュレーション演習があります。この演習を通じて、より実践的な管理手法を学ぶことができました。我社の製品は缶に封入され出荷されますが、自動化ラインにおいて、時々封入前の空き缶が出荷ラインに紛れ込むことがありました。顧客まで空き缶のままの製品が届いてしまうという致命的な問題に対して、自らQCサークルを発足し、チームで改善提案を作り、取り組んだ結果、不良出荷をゼロにすることに成功しました。日本での研修後、学んだ内容を社内で発表したり、社内教育を実践したりして、品質向上のために積極的に取り組んでいます。空き缶のままの出荷を防ぐために改善した生産ライン

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です