HIDA JOURNAL 2014 SPRING No.4
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12 HIDA JOURNAL対談「品質管理研修(QCTC)コースの役割と今後の人材育成」対談日:2013年12月4日場 所:HIDA関西研修センター対談者:岩崎日出男 近畿大学名誉教授武田貞夫HIDA専務理事武田:品質管理研修(QCTC)コースでは主任講師として長年ご指導、ご協力くださりどうもありがとうございます。また、先日は、2013年度デミング賞本賞を受賞されましたこと、改めてお祝い申し上げます。岩崎先生が長年取り組まれていらっしゃる全社的品質管理(Total Quality Management: TQM)やそれに利用される統計的手法などの研究に対して高い評価がなされたことはHIDAとしても大変うれしいことでございます。受賞報告講演で岩崎先生が品質管理に出会ってからの47年についてお話をされましたが、故花田伝教授との出会いが非常に大きかったと伺いました。花田教授との思い出も踏まえて、品質管理のどのような点に特に惹かれていったのでしょうか。岩崎:私が大阪工業大学4年生の時のゼミで品質管理を選択しました。その時に花田教授が指導教官を引き受けてくださいました。花田教授は京都大学で数学を専攻され、大学ではオペレーションリサーチを教えていらっしゃいました。ゼミでは、戦中におけるB29などの爆撃機に対する高射砲の命中率の話などで難解な数式を展開する日々が続いていました。ある日、花田教授のカバン持ちで京都にある義歯の製造工場に同行しました。工場に着くなりストップウォッチを持たされ、工程間の時間測定をするように指示されました。工場内を走り回って現場でデータを取り、管理図を作成しました。当時は現在のようにパソコンがありませんでしたから、烏口に墨を入れてトレース紙に管理図を書いていました。部分的に修正するわけにはいきませんから、失敗しては書き直しの連続で同じデータをもとに200枚ほど管理図を書き直したと思います。このように現場に入ってデータを取り、データを解析することのおもしろさを教えてもらえたことが一番勉強になりましたし、それが品質管理の魅力だと感じます。後から知ったのですが、花田教授は1955年ごろから約10年間インドへ品質管理の指導に行かれており、それ以前は日本科学技術連盟の品質管理ベーシックコースの初代講師を担当されていました。このベーシックコースは1949年に立ちあがり、品質管理分野の大御所である石川馨先生らにも講義をされた大先生でした。素晴らしい実績をお持ちの花田教授に出会い、この教授のおかげで今の自分があると思いますので、まさに花田教授は私の恩師です。武田:ところで、岩崎先生がQCTCコースに関わられることになったきっかけを教えていただけますか。岩崎:QCTCコースは1979年に第1回目が開講されました。故近藤良夫先生(京都大学名誉教授)が主任講師をされ、故安藤貞一先生(京都大学名誉教授)、故市川邦介先生(大阪大学名誉教授)、故池田潤平先生(大阪電気通信大学教授)らが中心になって講師陣を構成していました。私は第1回のコース開催時には講師として参画していませんでした。カリキュラム内容が少し落ち着いた第2回目か第3回目くらいから、統計解析の講義を担当した記憶があります。そして、2007年の第29回目のQCTCコースの実施にあたり、近藤先生から「このコースの主任講師をやりなさい」とお声をかけていただき、それ以来主任講師を務めています。武田:QCTCコースのこれまでの研修参加者数は700人を超え、非常にたくさんの研修生がQCTCコースで日本の品質管理を学んでいます。また、地域別にみると圧倒的にアジア地域からの参加が多く、インド、バングラデシュ、タイがトップ3で多い国になっています。岩崎:日本の品質管理分野の歴史を振り返ると、1979年と1980年は大きな節目だったと思います。1979年は日本の品質管理が世界で非常にもてはやされ発展した時代であり、他QCTCコースの主任講師である近畿大学名誉教授の岩崎日出男先生が、2013年度デミング賞本賞を受賞されました。受賞報告講演会では、恩師である花田伝先生との出会いから始まり、品質管理の世界で支えてくださった関係者、ご家族の方たちへの感謝の気持ちを語られ、岩崎先生の驕らない謙虚な人柄が感じられました。日々こつこつと改善に取り組むことの大切さに改めて気づかされました。 [編集部]2013年度 デミング賞本賞 受賞報告講演会、授賞式ならびに祝賀会デミング賞大賞・デミング賞授賞式祝賀会(左が岩崎名誉教授、右が武田専務理事)

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