HIDA JOURNAL 2014 SPRING No.4
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No.4 SPRING 2014 11ダウン」方式による経営が主流でした。私自身も欧米式のトップダウンによる経営を実践する多国籍企業で職業人生を始めていました。そうした中、EPCMコースで全く反対のアプローチである「ボトムアップ」方式の経営の強みを初めて学びました。生産現場や製品の品質の高さに良い影響が波及していることを見聞しました。これら2つのアプローチの違いを理解するのにそれほど時間はかかりませんでした。ボトムアップによる経営は全従業員のやる気や参画を得ることによってよりよい業績につながることを確信しました。帰国の途で、私はいつか夢を実現させた時に自分の会社にEPCMコースで新しく学んだことを最大限に取り入れようと心に誓いました。日本から戻って2年後の1993年、阪神タイガースや関西空港のマスコット人形を輸出する会社を初めて起業し、EPCMコースで学んだ経営手法を実践しました。EPCMコースに参加した時に、日本市場では非常に厳しく、きめ細かい品質レベルを要求されることを学びましたから、それは英国やドイツへ製品を輸出する際にも大いに役立ちました。イギリス・ロンドンのリージェント通りにある有名なデパートで若い日本人女性が私の会社で生産した布製の人形のおもちゃを買い求めている姿を見た時には本当にうれしかったです。日本的経営手法の一つである方針管理を自分の会社で、次のステップを踏みながら実践しました。◦現場のリーダー全員に企業の目標を語ります◦全リーダーはその目標を達成するための計画作りに参画し、目標達成を目指します◦各部門は部門目標を達成する責任を持ち、全従業員がその目標達成のために参画することを奨励します同様に、カイゼン手法も方針管理と合わせて導入し、目覚ましい成果をあげ始めました。私は、阪神タイガースや関西空港のマスコット人形のサプライヤーとの契約に成功した時に掲げていた企業理念を話すことを誇りに思います。EPCMコースで短期間に学んだすべてのことが私にとって人生の道標になっています。2003年に米国を代表する服飾ブランドの製造を請け負う企業をヨルダンに設立した時もEPCMコースで学んだことが大いに役立ちました。スリランカ、インド、バングラデシュから出稼ぎに来る2800人の労働者を束ねるためには、それぞれの文化に沿った上手な言い回しの人事規則が必要です。EPCMコースで学んだ労務管理の基本に立ち返り、日本的経営手法を取り入れました。2010年にヨルダンにセイロン茶や冷凍加工した魚介類を扱う会社を設立した時にはEPCMコースで学んだマーケティング手法を最も活かせました。EPCMコース中にはブランド力や販売権の重要性について議論しました。その経験を通じて、私も「Fresh & Best」というブランドを創り、今ではヨルダンで有名なブランドの一つに成長しています。冷凍した魚介類を取り扱うのは品質保持などの面でリスクが高いです。日本での企業見学を通じて、品質管理は商品そのものだけではなく食品加工の過程でも徹底することが必要であり、品質管理は品質保証と品質管理工程とを合わせて実践すること、そして品質管理を物流部門でも行う必要があることをEPCMコースで訪問した企業から学びました。それは、ベトナム、パキスタン、インド、スリランカの物流センターでも活かしています。「人生は長い学びの道、だからこそ経営者や起業家は経営能力を常に向上させることが極めて重要である」ことをEPCMコースの参加者全員が矢作先生やHIDAから教えられたと思います。EPCMコースで学んだことすべてを考えると、2013年10月30日にインド・ニューデリーでHIDA事務所の開所式に合わせて行われた矢作先生の記念講演に招待されたことはとても感慨深く、また矢作先生の講演により日本的経営の現状と将来について詳しく理解することができました。そして、今回、ニューデリーでHIDA-EPCMクラブが発足しました。このクラブの目的を矢作先生からご説明いただき、まさにタイムリーで先を見越したクラブであると感じました。このウェブ上のクラブにEPCMコースの元研修生が参加することを願います。最後に、EPCMコースへの参加は、私にとって人生が変わる経験でした。日本の素晴らしい皆様に感謝の意を表します。Fresh & Bestの商品左が矢作先生、右がAthulla R F Edirisingheさん

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