HIDA JOURNAL 2014 SPRING No.4
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10 HIDA JOURNALEPCMコース30年間の原点矢作先生がビジネスから転じて慶應義塾大学の経営大学院で初めて教職に就かれた1983年に、当時のAOTS専務理事が途上国の経営管理者の研修を手伝っていただけないかとご相談したことがきっかけで、以来30年間にわたりご指導いただいています。AOTSの「人と人との交流を本気で行っている姿」や「人と人との交流が世界平和につながるという情熱」が、矢作先生の琴線に触れたそうです。矢作先生は、高校時代に交換留学生としてアメリカ人家族の一員として迎えられ、様々な国の仲間と議論され交流し充実した時間を過ごされました。その時に感じた国民一人一人の交流の大切さに思いを馳せ、本プログラムへの指導を「これこそ自分のライフワーク」と感じ、本コースの主任講師をお引き受けいただいたそうです。矢作先生がライフワークと考えられたのは、多民族・多国籍の人々が一堂に会し同じ問題について全く異なる価値観や視点から徹底的に討論し合いながら、お互いを理解し、信頼関係を作る事が、「平和」の基盤だと考えられたからであり、この考えは30年経った今でも変わらないどころか益々強くなっているとのことです。それだけに、この研修コースの真価はプログラムの内容が優れていることだけではなく、講師やHIDAの職員の情熱と誠意が参加者にどこまで伝わるかにかかっていると認識され、現在の講師陣や見学企業に落ち着くまでには相当長い年月の試行錯誤を重ねられました。毎年定員を上回る応募者があり、その中から選ばれる参加者のレベルは知的能力も人間性の面でも素晴らしいものがあると高く評価されています。■東北アジア■東南アジア■南アジア■中南米■アフリカ■ヨーロッパ■その他15人2%5人1%48人6%73人9%294人36%98人12%275人34%EPCMコースの参加者 地域別(人数、%)(1983~2013年度)研修生の声今回ニューデリーでの矢作先生の記念講演に参加されたスリランカのAthulla R F Edirisingheさんは、1990年にHIDAのEPCMコースに参加されました。研修中に学んだ知識や日本で見聞を広めたことを帰国後ご自身の企業経営の節目毎に活かしならが、会社を成長させてきました。人材育成の効果は数年という短期間で成果として現れるものではありません。日本での2週間の研修で得たさまざまな種が長い年月を経ながら波及効果を及ぼし大きく花を咲かせています。日本での研修がその後の人生に与えた影響について寄稿していただきましたのでご紹介いたします。人生を変えた経験1990年度EPCMコース元研修生Athulla R F Edirisinghe氏人生にはインスピレーションとともに大きな節目がともなうものです。その節目の一つが、HIDA(当時のAOTS)が主催する日本での管理研修すなわちEPCMコースの参加者に選ばれた1990年です。20年以上たった今でもEPCMコースに参加する素晴らしい機会を与えてくれたHIDAに感謝しています。日本で過ごした2週間は私の人生を変えました!EPCMコースに参加する中で、私の物の考え方に変革が起こりました。それまでの人生で考えもしなかった180度異なる物の見方に気づかされたからです。研修中に訪問した日本企業の皆さんからの話は、私に様々なインスピレーションや多面的に考える着眼点(“food for thought”)を与えてくれました。そして、日本で訪問したある会社の社長のようになりたいという夢を追い求め始めました。念入りに準備された矢作先生の講義はまさにMBAコースの短縮版でした。このコースで訪問した日本企業の見学を通じて全く新しい視点を学びました。そして、スリランカへ帰国する時にはすでにそれまで私の中に眠っていた起業家精神の血が騒ぎ始めたのです。1948年に英国の植民地から独立したスリランカは、「トップEPCMコースのこれまでの実績EPCMコースは1983年に第1回を開催し、2013年度までの参加者数は累計で800人を超え、インドを含め、アジア、アフリカ、中南米、欧州など世界54ヵ国の企業経営幹部らが参加しています。そのうち、インドからの研修生は100人を超え、続いてタイ、インドネシア、マレーシアからの参加者が多くなっています。

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