HIDAジャーナル 2013 SPRING
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7HIDAジャーナル No. 2 ● SPRING 2013私は2011年5月25日から10月13日までの約4カ月半、AOTS(現HIDA)の制度を利用して日本で研修を受けました。私にとって初めての外国だったことに加え、ベトナムでもまだ東日本大震災関連のニュースが頻繁に流れていた時期でしたが、日本にいる同僚や友人から常に正確な情報を入手することができたので全く不安は感じませんでした。最初の3カ月は一般研修で、中部研修センターで日本語と日本の文化・習慣等について勉強しました。私は日本に行く前から少し日本語を勉強していて、ひらがな・カタカナの読み書きはできたのですが、3カ月間毎日朝から晩まで勉強するのは大変でした。特に漢字が苦手だったのでとても苦労しました。それでも、一生懸命努力しているうちに、だんだん日本人の会話が聞きとれるようになってきました。このほか、一般研修では日本企業の特徴や5Sと改善、ビジネスマナー、生活習慣、防災等に関する講義と工場見学があり、日本という国を理解する意味でとても役に立ちました。残りの1カ月半は実地研修で、三重県にあるデンソーの関連会社で切削加工技術について学びました。ただ、ここでは技術を身に付けたことよりも、仕事のやり方や考え方を理解できたことの方が大きかったです。具体的には『ホウ・レン・ソウ(報告、連絡、相談)』の必要性や1つの問題に対し原因追究することの大切さです。日本に行く前の私は、何か問題が起きると迅速に解決することを優先して、誰にも相談せずに対処することが多かったのですが、今ではまず『ホウ・レン・ソウ』を実行し、その後で問題の原因を自分なりに追求するよう心がけています。もっとも、まだまだ追求が甘いようで、一樂部長からはいつも「技術者なのだから、もっとロジカルに考えなさい」と叱られています。さて、現在私は切削加工部門のリーダーに昇格し、15人の部下がいます。そして、プロモーションやその他幾つかのプロジェクトを任されるようになりました。その分、仕事が忙しくなって残業も増えました。しかし、今の仕事にやりがいを感じていますし、部下のことも大切です。それに一樂部長の考えが少しずつ分かるようになってきたので、与えられた仕事をしっかりこなしていきたいと思います。現在の役職はSupervisor(係長職)ですが、3~5年後には1つの部門全体を任せてもらえるManager(課長職)になって、DMVN社の発展に貢献したいと思います。日本での研修に期待されるものは、やはり日本語力なのでしょうか。もちろん日本語は大切です。しかし、たった4~5カ月で劇的に上達するのは難しいでしょうから、まずはこちらの話した内容を理解できるレベルに達していれば問題ありません。それとは別に、普段私達が教えていることが実際の現場で実践されている様子を見て、体験して来てほしいのです。どんなにマニュアルを整備しても、“できる”ようにはなりません。実践すなわちOJTが不可欠なのです。ちなみに、HIDAの研修制度(技術研修)では、この2つを組み込むことができるので重宝しています。ところで、昨年この技術研修を受けられたフアンさんですが、上司の目から見てどのように映りますか。まだ27歳と若いですが、私の考えを一番理解してくれている非常に優秀な社員だと思います。私は厳しい上司で、技術者として決して妥協しない姿勢を彼には求めていますし、時に厳しく指導することもありますが、これも期待の表れです。彼にはもっともっと成長してもらう必要がありますし、彼ならもっと上のレベルに行けると確信しています。また、彼には半ば本気で「私が帰任する際、一緒に日本に連れて帰る」と言っています。彼にはDMVNの社員としてだけでなく、デンソーグループのグローバル人材として成長してほしいと思っています。フアンさんに大変な期待をかけていらっしゃるのですね。今後の成長を楽しみにしています。本日はお忙しいところありがとうございました。工場で部下を指導するフアンさん(右)ダンボールで作った製造ラインの実物大模型改善活動の成果を示すボード日本で学んだ仕事の考え方 生産技術3課係長 グエン・チュン・フアンさんVOICE

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