HIDAジャーナル 2013 SPRING
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HIDAジャーナル No. 2 ● SPRING 20134当社は、埼玉県さいたま市に本社を置く自動車用車体骨格部品、精密部品および金型・溶接設備のメーカーで、2011年4月に菊池プレス工業株式会社(本社:東京都羽村市)と高尾金属工業株式会社(本社:滋賀県甲賀市)が合併して誕生しました。もともと両社は車体骨格部品を共通のお客様に供給するメーカーで、過去30年にわたり協力して海外事業を展開するなど良好なパートナーシップを築いてきました。しかし、自動車産業が一層のグローバル化の進展と環境対応の強化を求められる中、グローバル展開力の充実、業容の拡大、事業基盤の拡充により競争力の向上を図るため合併しました。さて、当社は2012年3月にインドネシアに新法人を設立しました。既存の生産拠点は7カ国に14カ所ありましたが、これが合併後最初の海外進出となります。インドネシアは、二輪車から四輪車へのシフトが進む目安とされる一人当たりのGDP(国内総生産)3,000ドルを2010年に超えているほか、世界第4位の2億5千万人もの人口を抱えており、自動車市場の中長期的な牽引役となることは間違いありません。実際、インドネシアにおけるシェアが全体で8割を超える日系自動車メーカーは次々と生産能力増強や新工場設立を発表しています。私自身、海外進出先の環境を見極めるべく多数の国へ調査に行っていますが、インドネシアは交通インフラ整備の遅れや人件費の高騰などの問題があるものの、それらを上回る魅力を感じさせてくれます。当社では「お客様により近く、競争力あるコストで」というグローバル戦略を立て、お客様の近場に工場を持つことにより車体骨格部品を競争力のある価格でタイムリーに供給してきましたが、このように四輪車の需要拡大が見込める今こそインドネシアに打って出る時だと実感しました。また、需要拡大が見込めるのは車体骨格部品だけではありません。当社で生産している精密部品は自動車のトランスミッション部品が中心なのですが、このうち半分以上を占めるCVT(Continuously Variable Transmission、無段変速機)部品の需要が急速に拡大しているのです。自動車のトランスミッションは、MT(マニュアルトランスミッション)とAT(オートマチックトランスミッション)に大別されますが、CVTはATの一種です。燃費に優れていることから通常のATに比べてCO2排出量が少なく、地球に優しいのが特徴です。環境問題への対策として世界規模でCVTの需要が高まっていることを受け、当社としても2020年に向けたビジョンとして「良質廉価技術と先進技術の融合による低炭素社会への貢献」を掲げ、CVT部品の生産に注力したいと考えています。ところで、CVT部品の生産には高い技術力と多種多様な機械・器具が必要となるため、当社ではこれまで海外での生産を行わず、栃木工場のみで行ってきました。しかし、急速に受注が増えたことから、その栃木工場を増築するとともに、新たに進出するインドネシアに車体骨格部品工場に加えてCVT部品工場を建設することにしたのです。当面はタイのお客様向けのCVT部品を生産する予定ですが、折しもインドネシアでは政府による低価格・低燃費車優遇策が打ち出される見込みで、今後新車の生産台数増加に比例する分だけでなく、搭載比率が高まる分も合わせて、大幅に需要が拡大することが期待できます。さらには、既存のお客様に加えて新規のお客様を取り込めるチャンスが大いにあります。インドネシアは当社にとって、車体骨格部品とCVT部品の両方で大きな発展の可能性を秘めているのです。CVT部品の海外生産は初めてとなるので、現場の核となるリーダー候補には、将来の幹部候補生として専門技術を習得するだけではなく、当社の企業理念や経営戦略およびその背景も理解してもらう必要があります。そこで、AOTS(現HIDA)の研修制度を利用して6人を日本で研修することにしました。この制度では、意思疎通を図る前提となる基本的な日本語や日本企業に勤めるベースとなる知識を習得し、日本文化や日本人を理解するための導入研修を、企業に代わって実施していただけるからです。そして、研修費用に一部補助金が適用されること、企業独力ではなかなか難しい研修ビザの取得がスムーズになることも利点として挙げられます。おかげさまで研修生6人は、研修を通じてジーテクトグルー松本人事部長大きな発展の可能性を秘めたインドネシア株式会社ジーテクト事業管理本部 人事部長 松本克己栃木工場の外観HIDAの人材育成

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