HIDAジャーナル 2013 SPRING
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13HIDAジャーナル No. 2 ● SPRING 2013大場裕之 麗澤大学経済学部 教授SAVOLA EDIBLE OIL (SUDAN) CO., LTD.(スーダン)管理部長 タラル・ムスタファ・コガリ・ムスタファさんて、日本企業の整然とした職場環境、絶え間ない改善、高い生産性と効率性、顧客目線や品質本位の考え方等が次々と挙がりました。AFCMでは、2008年のコース開始以来、導入として「日本の企業理念と企業戦略」というテーマでの講義と最終発表会におけるアクションプランの指導を、麗澤大学経済学部教授の大場裕之先生にご担当いただいております。大場先生は、アクションプランのご指導に独自に開発された「共創空間(通称マトリックス)」という技法を活用されています。具体的には、全参加者がAFCMで学んだことについて、帰国後に自社で役立てられるか、実行できるか、また何故そう考えるかについて意見を図示した上で、議論します。他者の意見を尊重しつつ、ポイントを絞った議論を繰り広げる中で、何が効果的かつ実現可能であるか、参加者間で認識を共有することができます。その結果、共通認識として「効果的かつ実現可能なこと」が明確になり、各自のアクションプランが見出しやすくなるとともに、実行するためのモティベーションの向上が図れます。過去の参加者の中には、最終発表会のアクションプランに基づき自社で改善活動を実施して品質向上に努めた結果、その努力と功績が認められ、国際的な賞に輝いた方がいます。2010年度の参加者で、スーダンで建築事務所を経営しているハッサン・モハマド・ハミッド・エルラヤさんです。昨年11月にBusiness Initiative Directions(本部:スペイン)という機関が主催するInternational Quality Crown Award (Gold Category)を受賞しました。また、大場先生は「今回の研修は、参加者の皆さんにとって終わりではなく、始まりです。帰国後に自社で小さな改善を始める。政府系企業においては、自社での改善に加え、他社でも展開し、改善の普及活動を行う。“改善”の推進者として、これらを継続していく。この継続力こそが、改革の火種となり大きな変化を生みだしていくのです。」と、参加者を鼓舞激励されています。HIDAは、「共に生き、共に成長する」世界の実現を図るというミッションを達成すべく、今後もアフリカの現状を踏まえながら、効果的かつ持続可能な人材育成支援を推進していきたいと考えています。早稲田大学卒業後、インドのジャワハラール・ネルー国立大学院大学で経済学博士号を取得。帰国後、トヨタ自動車のシンクタンク・株式会社現代文化研究所、英国暁星国際大学での勤務を経て、現在は麗澤大学経済学部で教鞭を執られている。2011年12月には、ネパールのカトマンズにて開催されたAOTS(現HIDA)の南アジア同窓会地域連合会議(※1)にてヤングリーダーシップ研修の講師を務められ、同国副大統領より表彰される。また、2012年10月には、エチオピアのアディスアベバにて開催されたHIDAの巡回セミナー(※2)で「日本の企業経営」と題してご講演。これらの国をはじめ世界各地で指導された豊富な経験を持つ。※1 南アジア同窓会地域連合会議:南アジアの6カ国(バングラデシュ、インド、ネパール、パキスタン、スリランカ、イラン)の17同窓会が加盟するAOTS同窓会の地域連合の会議。※2 巡回セミナー:日本から複数のAOTS同窓会に講師を派遣して行うセミナー。講師派遣をHIDAが、参加者の募集や会場準備・実施をAOTS同窓会が担当。海外研修が実施されていない国や地域を主な対象とする。私は食用油製造会社で販売・管理部門の部長をしています。今回の研修で最も有意義だったのは、日本企業の成功事例を通じて実践的なことを学べた点です。「ものづくり」には改善活動とそれを継続させていくことが非常に重要だと実感しました。帰国後は、まず私が管理している部門から改善活動を始め、最終的には全社に広めていきたいと思います。もちろん、他の社員による抵抗など困難が伴うでしょうが、何故改善活動が必要なのかを説明して具体例を紹介すれば、理解は得られると信じています。そして、近い将来会社を成長させて、スーダンの発展に貢献できる会社にしたいと思います。2010年度のスーダンからの参加者が国際的な賞を受賞(2012年11月 ロンドン)講師紹介参加者の声

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