HIDAジャーナル 2013 SPRING
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HIDAジャーナル No. 2 ● SPRING 201312 HIDAでは、「人材育成を通じ、『共に生き、共に成長する』世界の実現を図る」というミッションを達成すべく、アジアのみならずアフリカや中南米に対する産業人材育成分野での支援も行っています。具体的には、これらの地域の国々を対象とした管理研修を企画・実施しています。今回は、その中の一つである「アフリカ企業経営研修コース(略称:AFCM)」をご紹介します。AFCMは、アフリカの民間企業の経営幹部・上級管理者等を対象に、彼らの経営能力向上を目的として企画されたコースで、2012年11月5日から11月14日まで、HIDA東京研修センターで実施されました。参加者の募集は、アフリカ10カ国にあるAOTS同窓会を通じて行われ、スーダン8名、ガーナ5名、タンザニア3名、エチオピアとケニア各1名の合計18名が参加しました。HIDAの受入研修事業には、主に開発途上国の企業等の技術者を日本へ招聘して製造技術等の固有技術を習得していただくことを目的とした研修と、管理者を日本へ招聘して日本の企業経営や工場管理、環境技術、産業基盤等に関する知識を学んでいただく研修の二つがあります。前者が技術研修で、海外進出した日本企業が出資先・技術提携先・代理店等の技術者を日本へ招聘し、自社での実地研修で専門技術を習得させます。このため、参加者は日本企業の進出先が集中するアジアからが大半です。後者が管理研修で、HIDA研修センターでの講義や視察等で構成されるプログラムです。日本企業での実地研修が必須でないため、コース毎に設定される資格要件さえ満たせば、日系企業か現地企業かを問わず参加することができます。このため、日本企業がほとんど進出していないアフリカや中南米からも参加することが可能なのです。アフリカは、豊富な天然資源を持ちながら、その大半が後発開発途上国で、世界で最も貧しい地域と言えます。鉱業を除く主要産業は農業で、他の産業はまだ十分に発達していません。一部の大企業を除くとほとんどが零細企業で、これらの企業はなかなか規模拡大を図れないでいます。そして、生産性も低い水準に留まっており、世界市場における競争力も高くありません。このようなアフリカ企業の現状を解決する糸口を見つけてもらうべく企画された管理研修コースがAFCMです。アフリカの企業にまず必要なのは生産性の向上です。しかしながら、このために経費をかける経済的余裕はありません。そこで効果を発揮するのが日本的企業経営の神髄とも言える“改善”です。お金ではなく知恵を出して改善活動を行い、現場のムダを徹底的に排除することにより、経費を最小限に抑えながら生産性を向上させることができます。このためAFCMでは、帰国後に改善活動を始めるきっかけとしてもらうべく、改善活動とその背景にある考え方を理解するとともに、自らその必要性に気付くことに主眼をおいています。すなわち、参加者はベースとなる5Sの意義や有効性を認識し、どのように実践すべきかを学びます。さらには日本企業による改善事例を通じて自社に欠けているものや自社の弱い部分を見つけられるよう、カリキュラムを組んでいます。(日程表参照)ところで、前述の通りアフリカの民間企業の多くは体力がなく、社員を海外での研修に派遣させられません。このためAFCMでは、民間企業の経営幹部・上級管理者に直接学んでもらうだけでなく、民間企業を主導・指導する立場にもある政府系企業からの波及効果も想定し、これらの企業も対象としています。実際、今回の参加者18名のうち8名が政府系企業からでした。参加者は各プログラムに意欲的に取り組みました。そして、最終日には自社における問題をいくつか取り上げ、講義や視察等から得られた知見にもとづき、それらの問題解決のためのアクションプランについてグループ発表を行いました。その中で、日本で気付いたこととし最終レポート発表会の様子アフリカ企業経営研修コース (The Program on Corporate Management for Africa/AFCM)アフリカへの人材育成支援日 付午 前午 後11月5日(月)オリエンテーション/開講式 講義:経営理念と経営戦略11月6日(火)講義:財務管理11月7日(水)講義:生産管理11月8日(木)講義:人的資源開発11月9日(金)講義:マーケティング戦略11月10日(土)休 日11月11日(日)休 日11月12日(月)移動企業訪問:経営理念の事例11月13日(火)企業訪問:職場環境改善の事例企業訪問:人材育成の事例11月14日(水)最終レポート発表会修了式「アフリカ企業経営研修コース」日程表

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