HIDAジャーナル 2012 AUTUMN
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HIDAジャーナル No. 1 ● AUTUMN 20126 続いて専門家派遣制度の事例として、NAMBU CYL(THAILAND)CO., LTD.をご紹介します。同社は2002年にタイに進出して以降、順調に事業を拡大し、ついに今年自社工場を構えるまでになりました。ここに至るまでの道のりは必ずしも平坦ではなかったようですが、大胆かつユニークな発想で乗り切ってこられたそうです。 一方、同社は昨年新たに立ち上げた設計部門の人材育成にJODC(現HIDA)の専門家派遣制度を利用されています。 そこで、人材育成を含めた事業運営についての考え方を吉富社長に伺いました。[取材日:2012年7月13日]専門家派遣制度の事例(専門家受入企業)NAMBU CYL (THAILAND) CO., LTD.御社は今年の5月にこの新工場に移られたそうですね。どういう経緯で移転されたのでしょうか。当社は今年の4月までここから車で5分ほどの所にあるオオタテクノパークに入居していて、3区画(1区画:320㎡)を利用させていただいていました。オオタテクノパークではさまざまな情報が入りましたし、大変居心地も良かったのですが、これ以上の拡張が難しくなったので思い切って新工場を建てることにしたのです。この新工場は2,400㎡の広さがある上、工場の裏には第2工場用の土地も確保してあります。生産量が増え、スペース的に限界に達していたのでしょうか。まだ限界という程ではなかったのですが、余裕が無くなっていました。私はモノづくりにはある程度空間的な余裕が必要だと考えています。この余裕が無いと、整理・整頓ができなくなり、やがて物が無くなります。また、ケガも発生しやすくなります。そして何よりも怖いのは、発想が貧しくなるのです。しかし、レンタル工場を出て自社工場を建てるというのは思い切った決断ですね。実はこの新工場は南武グループにとって初めての自社工場なのです。日本の本社も中国の現地法人も賃貸で運営しているので、これだけの投資はグループ全体でも初めてのことでした。ですから私自身も少し迷いましたが、この業界がリーマンショックからV字回復したことを見て、まだ伸びしろはあると考えて決断しました。新工場に移転してからも順調に推移しているのでしょうか。残念ながらそうではありませんでした。生産への影響を最小限にしたかったので、引越し後まだ工場内の整理・整頓ができていないうちに従来同様2交代制で生産を開始したのですが、これが良くなかったのです。それまでは無かったような小さなトラブルが相次ぎ、ついに社員がケガをする事態となりました。幸い大きなケガではなかったのですが、負のスパイラルを断ち切る必要があると思い、直ちに対策を取りました。まず、工場内を整理・整頓するために、2交代制での生産を中止して昼間のみにしました。これにより生産能力は落ちましたが、事前に中国の法人に代替生産の相談をしていたので、グループ全体の生産への影響は回避できました。次に日勤に人が集まったので、余った社員により工場内の5Sを進めました。【NAMBU CYL (THAILAND) CO., LTD.】本 社: タイ・チョンブリ県(アマタナコン工業団地)設 立: 2002年2月資 本 金: 3,200万バーツ従 業 員: 58名(2012年7月現在)事業内容: 金型用中子抜き油圧シリンダおよび部品製造 販売上記関連周辺機器製造販売 シリンダ関連保守・オーバーホール吉富社長制度利用事例
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