HIDAジャーナル 2012 AUTUMN
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HIDAジャーナル No. 1 ● AUTUMN 20124 HIDAでは、制度をご利用いただいた企業を訪ねて、成果について調査を行っています。今回はこのうち3社の事例を紹介します。 まず最初は研修制度を利用して日本で社員の育成を行っているタイのDAIKIN COMPRESSOR INDUSTRIES LTD.(DCI)の事例です。DCI社は首都バンコクから南東に約120km離れたアマタシティ工業団地にあります。同社ではここ数年毎年のようにAOTS(現HIDA)の研修制度を利用し、幹部候補社員を育成しています。また、導入研修は通常の6週間コースではなく、より高いレベルの日本語が習得できる13週間コースを毎回お選びいただいています。 そこで、同社の人材育成に対する考え方と、帰国した研修生に対する評価を通じて研修制度の成果について、工場長の関田様にお話を伺いました。[取材日:2012年7月13日]研修制度の事例(研修生派遣企業)DAIKIN COMPRESSOR INDUSTRIES LTD.まず、御社の概要について教えてください。当社はダイキン工業株式会社が100%出資する会社で、エアコンのコンプレッサー(圧縮機)を製造しています。工場が稼動してからちょうど10年になりますが、生産台数も順調に伸びて昨年度は約200万台でした。出荷先はタイ国内がおよそ50%、日本が25%強、中国向けが20%強、残りがインド、マレーシア、オーストラリア等となっています。従業員は派遣社員を含めて1,700名弱で、このうち日本からの出向者が8名います。順調に成長してこられたようですね。ここ数年だけでもリーマンショックや昨年の大洪水など、タイの経済に打撃を与えるマイナス要因は幾つもありましたが、地道な努力を積み重ねて実績を残すことができました。コンプレッサーというのはエアコンの部品なので、完成品に比べて利益率は低くなります。従って、少ない利益で会社を運営していくためには知恵を絞って製品を安く作る必要があるのです。しかも当社は多品種少量生産なので、無駄を省いて効率を上げることは極めて重要です。このため、当社では改善活動を徹底的に進めており、一人ひとりが生産性の向上に努めています。この結果、2005年から従業員数はほとんど変わっておりませんが、この間に生産量は1.5倍に増えています。それは素晴らしい成果ですね。一方、人材育成についてはどうお考えでしょうか。当社にとって、人材育成もコストを下げる工夫の一つで、新卒で採用した若い社員を教育して、会社の考えを理解した人材を育てています。短期的には、技術を持った経験者を採用した方が効率良く見えますが、中・長期で考えるとじっくり育てた人材が長い期間働いてくれる方が会社にとってメリットが大きいのです。そして、幹部候補の社員には日本での研修に参加させています。日本での研修には何を期待されているのでしょうか。当社が幹部候補の社員を日本に派遣して研修を行うのは、彼らの考え方が変わるからです。日本人社会を経験し、日本人と多く接することで、日本人に近い考え方ができるようになります。また、日本語も会話やメールなどがある程度できるようになります。その一方、技術面では日本に頼るつもりはありません。タイ人の技術者はとても真面目で優秀という資質に加え、多品種少量生産ということで経験する仕事量が増えますので、技術が磨かれるのです。一般研修(導入研修)で13週間コースをお選びいただいているのも、そのような考えからなのでしょうか。そうですね。HIDAの一般研修は、日本人の考え方の根底にあるものを気付か【DAIKIN COMPRESSOR INDUSTRIES LTD.】所 在 地: タイ・ラーヨン県(アマタシティ工業団地)設 立: 2001年2月資 本 金: 33億バーツ従 業 員: 1,698名(2012年6月現在)事業内容: エアコン用コンプレッサーの製造元研修生のSanyaさん(左)と関田工場長制度利用事例

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