HIDAジャーナル 2012 AUTUMN
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HIDAジャーナル No. 1 ● AUTUMN 201212 昨年タイ中部を襲った大洪水からまもなく1年になります。水は長くても2カ月で引いたものの、その後の復旧は難航し、いまだ工場の稼働に至らない会社も少なくありません。また、再稼働した会社でも新たな問題を抱えています。その一方で、このような状況でも今後を見据えて人材育成に力を入れている企業も多いようです。 そこで、今回編集部では7月上旬に被災地を訪れ、現在の状況についてHIDAの制度をご利用いただいている企業2社にお聞きしました。[取材日:2012年7月12日]当社はアユタヤ・ロジャナ工業団地に工場があります。今回の洪水では工場が約1カ月半泥水に浸かり、機械や設備のほとんどが使えなくなりました。その間バンコク近郊に一時避難し、臨時事務所で営業活動を継続しておりました。しかし、水が引いた後もヘドロや錆で、どこから手をつければ良いか分からない状態でした。年初から工場の清掃、片付けを開始し、2月中旬にアユタヤに事務所を戻しましたが、工場はいまだ一部のみの再開です。最大の要因は被害を受けた機械・設備にかけていた損害保険の査定に時間がかかったこと、そして今後の洪水対策が本当に大丈夫か見極めが難しかったことの2点です。資金的な問題もあり、大型設備は洪水対策の進捗を見ながらの手配とならざるを得なかったからです。未曾有の規模の災害だったとは言え、1日も早い復旧を目指す企業にとって極めて深刻な事態です。幸い当社は日本の本社で代替生産ができたため、お客様への影響は最小限に留めることができましたが、そうでないと大切なお客様を失うことになりかねません。こうした2次的な被害も今後徐々に明らかになることでしょう。しかし、ただ待っていても仕方なく、当社ではリーダー候補の社員を対象に技術と管理能力をレベルアップさせるための教育を行っています。まず、昨年度に引き続きAOTS(現HIDA)の研修制度を利用して5月下旬から3名を日本に派遣しています。先に研修を受けた6名と同様、再稼働後の当社の牽引力となることを期待している人材なので、日本で多くのことを吸収して欲しいと思っています。一方、先に日本での研修を終えた社員を含む残りのリーダー候補たちには、社内で検査技術等の研修を行っているほか、お得意様企業にご協力いただきながら実習を通じて当社製品がどのように利用されているのかを学ばせています。現在は本社からの資金援助を得ながら機械・設備の入れ替えを進めており、11月末頃には本格的に稼働できる見込みです。しかし、現在保険会社、再保険会社は巨額の保険金を支払える状況になく、もし再度新たな洪水による被害が発生した場合、被害額は全て自己負担になってしまいます。そのような事態になれば、事業継続は極めて困難な状況に陥ります。当社としてもいろいろ対策を考えてはおりますが、安心して事業を継続できるよう、タイ政府、日本政府をはじめ各機関の洪水対策、保険支援を願うばかりです。中井社長浸水で使えなくなった機械。敷地の外では防水壁の工事中ロジャナ工業団地SANALLOY INDUSTRY (THAILAND) CO., LTD社長 中井 徹様【SANALLOY INDUSTRY (THAILAND) CO., LTD.】所在地: タイ・アユタヤ県(ロジャナ工業団地)設 立: 2005年 3月事業内容: 超硬合金の製造・販売海外の話題:タイ洪水被害のその後壁に浸水の痕が残る工場内
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