HIDAジャーナル 2012 AUTUMN
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9HIDAジャーナル No. 1 ● AUTUMN 2012ベトナム工場の印刷副機長であるグエン・ズイ・フンさんは今年5月に来日しました。HIDAの横浜研修センターで9日間の一般研修コースに参加し、6月から8月下旬まで千葉県の松戸工場で実地研修を受けましたが、この間の指導を私が担当いたしました。フンさんは大阪の印刷会社での実務経験があり、印刷技術の基礎とある程度の日本語を知っていたので、大変教えやすかったです。研修内容は、色の調整、各色版の位置合わせや準備印刷の校正に関するもので、印刷工程全般の作業を当社の基準通りにできるようになることを目標としました。普段はおとなしい彼ですが、現場に来るととたんに積極的になり、大変熱心に指導を受ける姿が印象的でした。さらに、彼は大変目が良く、日本人社員がすぐには気付かない色ムラやキズをよく見つけ、感心させられることがしばしばありました。不良の発見は、早ければ早いほど、ムダを省くことになりますので、当社のような業種では貴重な特技だと思います。帰国後は、更なるスキルアップに努めて、現地工場を支えてくれる人材に育ってくれることを期待しています。準枚数・基準時間」が設けられています。現地での指導では、これら印刷の品質やムダの改善を図りましたが、なかなか効果が上がらなかったことから、日本の現場で印刷中の機長の動きを実際に見せ、その動きや目的を理解させることを通じて、各作業のノウハウを習得させるのが良いという結論に至り、日本で研修を受けさせることにしたのです。どのようにしてHIDAの制度をお知りになったのでしょうか。実は、AOTS(現HIDA)東京研修センターは私の通勤ルート上にあり、随分前から建物と看板を電車の窓から見て知っていました。その時は身近な存在には感じられなかったのですが、現地従業員を日本で受け入れる話が社内で具体化してきた際にタイミングよく思い出して、受入研修について相談してみたのです。御社では、これまでに5人の研修生の方を受け入れられていますが、毎回1人ずつ招聘されています。一度に複数人の研修を行った方が効率的ということはありませんか。当社では基本的に3カ月に1人ずつ研修生を受け入れるようにしています。現地の人材が限られていますので、一度に多くの研修生を受け入れられないのです。こうすることで現地および日本の両工場の生産体制を維持しながら人材を育成することが可能になります。御社ならではの工夫なのですね。研修の成果は上がっていますか。これまでに、現地工場の印刷機2台を任せる機長・副機長4名の研修が終わりました。4名は確実にスキルアップし、品質の高い印刷ができるようになるとともに、各作業を基準範囲内で処理できるようになりました。従って、現地従業員に現場を任せるための下地作りはできたと考えています。また、現在製本技術者1名の研修を行っているほか、9月からは生産および品質管理責任者1名の研修を行う予定です。ところで、御社は研修制度だけでなく、専門家派遣制度もご利用ですね。専門家派遣制度の利用は、昨年11月に旧AOTSから届いた書類に同封されてきたチラシがきっかけでした。すぐに旧JODCに問い合わせ、申請することにしました。受入研修では印刷・製本・品質管理の各グループのコアになる人材の個々の能力をレベルアップさせることで主に品質の向上を図りますが、専門家派遣では生産管理システムの導入を図りたいと考えています。実は、現地工場では納期が守れないケースが発生しており、大きな問題となっているのです。そこで、当社の生産管理を担当する社員を専門家として派遣し、生産管理システムを構築することにしました。もっとも約8カ月という短い指導期間ですので、まずは生産管理体制の土台作りを目指します。今後の抱負についてお聞かせください。できるだけ早い時期にベトナムで「ななめもーる」の生産を始めたいと思っています。「ななめもーる」は労働集約型の製品であり、日本からベトナムへ生産を移管することができれば、人件費の大幅なコストダウンに繋がるからです。ただ、この製品は高度な技術だけではなく良質の紙も必要とします。まずは現地工場の生産管理システムを構築し、同時に良質の紙の確保についても検討していきたいと思います。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。シンボル商品「ななめもーる」西川サブリーダー(右)と第4期研修生のグエン・ズイ・フンさん指導員の声 松戸工場 製造部印刷グループサブリーダー 西川博志様VOICE

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